球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

メッツGM解雇きっかけに反セクハラの動き高まるか

[ 2021年1月24日 05:30 ]

 現地時間19日午前8時、メッツはジャレド・ポーターGM解任のオーナー・ツイートを流した。「今朝、GMを解任した。オーナーとして最初の記者会見で、私はファンとメディアに、何事も誠実にやる、と約束した。今回のGMの行為は許容範囲ゼロ」。前夜スポーツ専門局ESPNがGMの女性記者へのセクハラ行為を報じた数時間後だ。ポーター氏(敬称は不要と思うが)との4年契約は昨年12月20日に結んだ。在任期間1カ月で終わった。

 メディアは喝采し、同時に「この問題は球界に深く広く存在する」と指摘した。今回の事件そのものは単純だ。ポーターがカブスのスカウト部長だった16年、中南米の国から取材に来た女性記者と名刺を交換。以後彼女につきまとい、自身の裸の下半身の写真を送りつけ、さらに60通ものメッセージを送っていた。ESPN局はこれらの電子情報の全てを入手しての報道だ。おぞましく、かつ、バカバカしいメール。ポーターの弁解が「下半身の写真は自撮りではない」にはのけぞった。女性記者たちが声を上げた。「この種の不快な経験を誰もがした」「あしき野球文化だ」

 メ軍のサンディ・アルダーソン社長は3球団でGMを務めワールドシリーズ1回、リーグ優勝4回の球歴を持つ。「面接で野球のことだけを尋ねた私の失敗でもある」という。ポーターはダイヤモンドバックス幹部を経てメッツGMに。選手の球団移籍では故障や病歴等さまざまな情報を移籍先球団に通知する規則がある。MLBが今回の事件調査を始めたのはフロント移籍の規則作りの準備だろう。6年前ハリウッドの大物製作者の女優へのセクハラが「#ミーツー」運動を起こした。野球版「#ミーツー」運動が始まるだろうか。 (野次馬)

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