球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

トロント本拠のブルージェイズは「ホームで試合ができるのか」

[ 2022年3月20日 05:30 ]

 開幕は4月7日(日本時間8日)だが、「ホームで試合ができるのか」と気になるチームがある。菊池雄星が3年契約を結んだブルージェイズだ。ワクチン未接種者は入国禁止のカナダのトロントが本拠。20年、フロリダでキャンプ中だったブ軍は締め出され、ナイアガラの滝を挟んでトロントの対岸にある、ニューヨーク州バファローの3A球団の球場を仮のホームとせざるを得なかった。今季も「カナダ政府はワクチン未接種選手を締め出し」とニューヨーク・タイムズ紙。また、ヤンキースやメッツの選手で、ニューヨーク市の規則「多数の観客を対象にする職業従事者はワクチン接種証明書の提示が必要」の違反者がいるとも同紙は報じた。

 コロナ下の野球も3年目を迎え、関係者は学んだ。本拠地都市、球場、州政庁は競って独自のコロナ対策規則を作って持ってくる。難問はプライバシーを盾に陽性者、ワクチン接種有無を明らかにするな、と訴える選手たちの意向だが、それも時間の問題か。接種強制はできないが、「同僚に感染リスクをもたらすので辞めてもらう」が世間のトレンド。新労使協定に「ワクチン未接種でカナダ入国を拒否された選手は一時的に制限選手リストに入れ、給与停止、諸権利獲得の稼働日数に含めない」と異例の権利制限規定が設けられた。

 「個人の自由は尊重されるべきだが、社会全体の健康に関わる問題には通じない」と選手会のトニー・クラーク専務理事。世界は「防疫を制限し、生活のため経済活動の拡大」へシフトする。野球、大リーグは世界の時流を映し出したようだ。(野次馬)

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