球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ヤンキースのドナルドソン“ジャッキー”は「ジョークだ」の弁明で火に油

[ 2022年5月29日 05:30 ]

 ヤンキースのジョシュ・ドナルドソン三塁手(白人)がホワイトソックスのティム・アンダーソン遊撃手(黒人)に「ジャッキー」と呼びかけ騒動が起こった。大リーグ機構(MLB)はドナルドソンに1試合の出場停止と罰金(金額は非公表)を科した。ドナルドソンが異議申し立てで一時的な措置だ。騒動は21日のヤ軍対ホ軍戦でのこと。声を掛けられたアンダーソンが怒り、両軍選手入り乱れるもみ合いに。“ジャッキー”は初の黒人大リーガー、ジャッキー・ロビンソンの愛称、それがなぜ騒動に?

 ホ軍トニー・ラルーサ監督は「ドナルドソン発言は人種差別的。私が言いたいのはそれだけ」とバッサリ。そして意外な展開に。ヤ軍アーロン・ブーン監督も「軽率で不適切な発言」と言い、アーロン・ジャッジ外野手も「受け入れられない」。当事者の両球団がそろって「不適切発言」というのだからMLBの調査もスムーズに進んだはず、通常1カ月はかかる調査が試合2日後に処分の発表。軽口のつもりが、ことが大きくなって、ドナルドソンは弁解コメント。「アンダーソンが気を悪くしたのなら謝罪する。発言は親しい仲間うちのジョークだ。以前アンダーソンと話したときジャッキー・ロビンソンの話が出たので」。これが火に油。アンダーソンはメディアに打ち明けた。「彼(ドナルドソン)とは付き合わない、ときっぱり伝えた」。その時も今回と同じように威圧的な態度で話しかけてきたらしい。

 「ジャッキー・ロビンソンはイコン(聖像)、軽々しく持ち出すな」がメディアを通した球界の雰囲気。異議申し立ては空振りだろう。差別的用語の判定は聞く人による。改めて、人種問題の根深さを思った。(野次馬)

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