球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

顕彰試合で「団結」できず…選手統制力欠いたレイズ

[ 2022年6月12日 05:30 ]

 大リーグは先週、16回目の「プライド・ナイト」を行った。性的マイノリティー(少数派)の人たちを支援する活動だ。70年代、大リーグで初めて「自分はゲイ」と宣言してプレーしたグレン・バーク外野手(ドジャース、アスレチックス)の顕彰も兼ねていた。

 レイズはユニホーム右袖に虹色の記章を付けるとしたが、2人の投手が記章なしで登板。地元紙は他に3人の記章なしの選手を指摘した。3人は「それぞれの信条に基づく決断」。宗教的な理由、ライフスタイルの問題とも言い「差別意識は全くない」と強調した。

 マシュー・シルバーマン球団社長の弁解は苦しい。「我が球団は少ない資金でいろいろ工夫して戦っている。重要なのは選手間の団結」。要するに選手間で論争になる事項の強制はスルーしたい。これでは選手が自由にスポンサーを見つけ、そのロゴマークを付けかねない。地元紙には球団の選手統制力の弱まりを嘆く気配が感じられる。

 こんな例がある。レッドソックスのクリス・セール投手は、ホワイトソックス時代の16年にレトロユニホームの着用を拒否、ハサミで切り裂いた。ホ軍は球団規則違反と球団財産破損で5試合の出場停止処分を科した。この5試合分の給与が罰金だ。大げさに言えばこれが球団の選手管理力というものだろう。

 最後に余談。アストロズのダスティ・ベーカー監督は向かい合った相手と万歳の両手を打ち鳴らす“ハイ・ファイブ”は「バークの発案。ド軍選手時代に2人でやったのが広まった」。ゲイの大リーガー1号に野球文化の創造者の顔があったのが救われた思いだ。(野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る