球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「黒人リーグの記録追加」はツッコミどころ満載

[ 2020年12月20日 05:30 ]

 大リーグ機構(MLB)は16日、1920~48年の間に活動していた7つの黒人リーグでプレーした3400人超の選手を「大リーグ選手(メジャーリーガー)として扱い、その記録を大リーグ記録簿(レコードブック)に追記する」と発表した。ロブ・マンフレッド・コミッショナーは、この決定を「野球を愛する者全てが喜んでくれるはず」と自賛した。

 多くのツッコミどころのある“決定”だ。記者はもちろんファンも首をかしげるのは記録の扱い。例えば、大リーグ最後の4割打者は1941年のテッド・ウィリアムズ(・406=出場143試合)だが、MLBの今回の発表に従うと、16年間の黒人リーグで800号超の本塁打説がある(現在のMLB最多本塁打はバリー・ボンズの762本)ジョシュ・ギブソンが43年に・441(出場78試合)を打っている。史上最高の黒人大リーガーとして殿堂入りしたウィリー・メイズは48年に黒人リーグでプレーした。この年打った17安打をメイズの記録にプラスするのか?

 黒人リーグの球団は専用球場を持たなかったため、シーズン試合数は80~100で現在の大リーグ162試合にははるかに及ばない。単純な記録追記は多くの問題が生じるだろう。

 野球はファンが選手の個人記録を楽しむスポーツでもある。メディアが「長年MLBが無視してきた黒人リーグの歴史に目を向けた」と一定の評価をしながらも問題点を突く報道が多かったのは、記録の扱いに触れなかったためだ。新聞投稿に鋭い一発。「“地球が動く”と言ったガリレオを宗教裁判で“天が動く”と強制的に言わせたカトリック教会が360年後に自分たちの誤りを認めたのと同じ。遅すぎた」。(野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る