球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

アクション野球復活へ 来季ルール改正の「実験」

[ 2021年3月21日 05:30 ]

 大リーグ機構(MLB)は11日、22年シーズンからの実施を視野にルール改正の「実験」を30球団それぞれが抱えるマイナー4球団、全120球団で進めると発表した。ロブ・マンフレッド・コミッショナーが長年言い続けながら選手会(労組)の反対でためらった「試合時間の短縮策」を含め「野球にアクションを取り戻す改革」だ。それは同時に球界内部からも出始めた「三振、四球、本塁打だけの試合」への反省による改革でもある。

 レッドソックスのアレックス・コーラ監督は、アストロズのコーチ時代のサイン盗みで昨季は職務停止。「離れての観戦だがボール・イン・プレー(ボールがフィールド内で動いている状況下)の試合が少なく見るのが苦痛」といった。レッドソックスとカブスをワールドシリーズ制覇に導いた名GMセオ・エプスタイン氏は昨年11月にGM業から引退したが、1月にMLBの「フィールド内部門限定のコンサルタント」に就任した。エプスタイン氏も「データ分析野球で野球の美しさ楽しさを失わせた責任」を口にしていたが、アクション野球復活への第一歩がファームでのテスト試合だ。

 5月に開幕するマイナーリーグの「新ルール実験」は、投球間隔時間、変形守備の制限、盗塁奨励でベースの1辺を約8センチ伸ばす…等、多岐にわたる。MLBは今季から飛ばないボール採用を発表し、MLBファン・アンケートによるファンが望む「選手が動く野球」に向けて踏み出した。

 選手会トニー・クラーク専務理事のノーコメントが気になるが、メディアの多くはこの改革を支持。スポーツ・イラストレーテッド誌は警告する。「改革ができなければ、5年以内に野球はナショナル・パスタイム(国技)からニッチ(隙間)スポーツに墜落だ」と。 (野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る