球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

アスレチックスが“呪われた球場”から解放される日を待つ

[ 2022年5月22日 05:30 ]

 新型コロナ感染での死者が100万人を超え、収束の気配はないが、各球場にはマスクなしのファンが押し寄せる。記録専門サイトによると、29球団が1試合平均1万人以上の観客を集め、18日現在トップのドジャースは4万4766人と、さすがの人気。問題は唯一1万人に届かないアスレチックス(8165人)だ。「5月2日の対レイズの観客2488人は今季大リーグ最低で、ア軍にとっても40年以上経験しなかった数字」とニューヨーク・タイムズ紙。「球界全体の負担になりつつある」。実は、ア軍は“呪われた球場”にとりつかれた。

 1968年、ア軍は完成間もないアラメダ・コロシアムにカンザスシティーから移ってきた。“巨大なコンクリートのドーナツ”の多目的競技場。ア軍とプロフットボールチーム2球団、異種競技での使い回しでグラウンドは大荒れだ。円形のため、それぞれの競技のグラウンドのレイアウトをはめ込むと、とんでもない空間が生まれた。野球の場合は球史で最も広大なファウルゾーン。この野球に不向きなフィールドでワールドシリーズ(WS)制覇を4度(移転前に5度)は壮挙だ。

 早い時期から移転を考えた球団だが、オークランド市の諸団体が離さない。コロシアムがあるのは工場地帯。地権が複雑に絡まり契約が多岐にわたり逃げられないのだ。WSでドジャースに4連勝して王者になった89年がチャンスだったが、「引っ越し費用が」とフロントがためらった。老朽化した球場は下水の逆流、水道からの水漏れ、断水、停電と散々だ。

 悲しい話がある。今季ア軍からメッツに移籍した選手が球団支給のスナックに「これが大リーガーの食べ物だ」と感激したという。今経営陣はラスベガスへの移転を目指す。大観光都市への引っ越しの夢。実現を待つ。(野次馬)

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