球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

華やか球宴後に待つ労使交渉&コロナ問題

[ 2021年7月18日 02:30 ]

 先週のオールスターゲームの主役は大谷翔平だった。「オータニのおかげで、オールスター戦は祝祭気分を取り戻した」と野球メディア。後半戦に向けたコミッショナー記者会見でロブ・マンフレッド氏(63)は「50年前、12歳のわたしは、友人の家のテレビで見たオールスター戦でレジー・ジャクソンが特大の本塁打を打ったのを鮮明に覚えている」と話した。野球のロマンチックな話は一切しない球界トップの異例の発言。「大谷効果で、ホッとした“安らぎの一言”」と記者たち。シーズン後半に待ち受けるのは「労使協約」改定交渉、大リーグ機構(MLB)対選手組合の闘いだ。

 選手側は、何年も続くFA市場の冷え込みは戦力投資をしないオーナーたちの姿勢にあると疑っている。オーナー側は、三振とホームランだけでフィールドと塁上のアクション不足がファンを減らしたと懸念する。MLBは「野球規則」の改定案を準備済みだが、選手側はプレー条件変更の受け入れに慎重だ。MLBは、過去2年のコロナ・シーズンで導入した改革、延長戦での走者を二塁に置いたタイブレーク、ダブルヘッダー試合はそれぞれ7イニングとする、などはキャンセル。新しく、内野の変形シフト制限(すでに2Aで実施)やバッテリー間の距離の延長(独立リーグで実験済み)などを用意する。

 難物は目前の問題だ。コロナ制限緩和の条件、総勢90人の試合要員のワクチン接種85%にまだ7球団が届かない。後半、最初の試合、ヤンキース(85%達成)対レッドソックス(85%未達成)で接種済みヤ軍3選手に陽性反応が出て試合中止。今季の運営が怪しくなった。大谷の二刀流がいかにさえても、相手が労使問題やコロナウイルスでは勝てない。どうなることか。(野次馬)

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