球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

キューバ選手たちを悩ませる亡命ビジネスの闇

[ 2014年4月27日 05:30 ]

 キューバからの亡命選手のスーパースター候補はドジャースのヤシエル・プイグ外野手だ。昨季の新人王投票で2位。今季は飛躍の年だが、スピード違反、練習に遅刻とトラブルが続く。まだ23歳、球団では大事に育てているが、その亡命経緯がロサンゼルスの雑誌とスポーツ専門局ESPNで報じられた。

 プイグのメキシコへの亡命は5回目で成功した。亡命を助ける組織と、その組織への仲介者のおかげだ。そしてド軍との7年総額4200万ドル(約42億8400万円)の契約。ここまではアメリカ夢物語だが、仲介者も組織も「商売」、お金をめぐる混乱が始まった。プイグは彼らに、今後手にする金額の20%を支払い続ける約束をさせられたという。仲介者には犯罪歴が、亡命手助け組織にはメキシコの麻薬犯罪組織の影がちらつく…との調査報道。プイグ、ド軍、大リーグ機構とも報道内容については「話せない」と歯切れが悪い。

 レッズのアロルディス・チャプマン投手も亡命を助けた人物から18億円を請求され裁判を起こされた。キューバ選手は直接米国に亡命するとドラフト対象選手になるため、第三国で居住権を得てから大リーグ球団と自由交渉して大金を狙う。それに怪しげな人物が群がり生まれた亡命ビジネス。現在大リーグでプレーする亡命選手は20人を超え、それぞれが過程での闇を抱えているらしい。

 選手流出に慌てたキューバ政府は昨年9月、54年ぶりにカリブ海リーグに復帰、選手の海外でのプレーを許可制にして開国した。巨人入りが決まったセペダが日本への移籍1号だが、ただし稼ぐ金額の20%をキューバ政府に納めるのが条件。プイグの亡命組織と同じ割合なのが苦笑ものだ。 (野次馬)

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