球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ヤンキース対Aロッド 場外マネーゲームもスリリング

[ 2013年6月30日 06:00 ]

 イチローのサヨナラホームランでヤンキースがレンジャーズを破った翌日、ニューヨーク主要紙の運動面のトップ記事はこの試合ではなかった。左腰手術後のリハビリを続けるアレックス・ロドリゲス(Aロッド)三塁手の「最高だ。すぐ試合に戻るぞ」とのツイッターにブライアン・キャッシュマンGMが「黙れ」と怒りを爆発させた記事だった。「復帰時期は球団が決める。選手が出過ぎたことを言うな」

 Aロッドとヤンキースの間は不穏な状態だ。この3年間、Aロッドは故障続き。話題になるのは薬物汚染選手としてだけ。ファン・アンケートで「最も嫌いな選手」になり、球団は2017年まで残る年俸総額100億円超に頭を抱える。そんなところにスターエゴ丸出しのつぶやき、GMがキレたのは当然だった。今月初めハル・スタインブレナー・オーナーが「Aロッドには失望続き」と言った。GMは「きちんと契約終了に至るかは不明」と言った。

 野球記者たちの観測はシビアだ。この故障がAロッドの引退につながれば球団はAロッドに保証した残り年俸のうち80億円超を保険金で回収できる。大リーグ機構が調査中の薬物使用選手で有罪となれば100試合の出場停止が予想され、この期間は日割りで年俸が減額できる。球団はそのいずれかを待つ姿勢。「大金にしがみつくAロッドとそれを削ろうとする球団の争い」との見立てだ。球団は否定するが、当たらずとも遠からず。

 続出する故障者をパッチワークで埋め、首位争いのヤンキースの試合はスリリングだが、場外マネーゲームもそれに負けていない。

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