球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

マーリンズCEOジーター氏 黒字化へ成算あるか

[ 2018年1月14日 05:30 ]

 キャンプ前、すべての球団が夢見るとき。マーリンズの新最高経営責任者(CEO)デレク・ジーター氏の夢は、今季チームの黒字化だ。昨季のマ軍はナ・リーグ東地区で首位ナショナルズから20ゲーム差の2位だが、「利益を出す」と順位抜きの経営者目線。しかし、観客動員は30球団中28位、「成算」があるのか?地元紙マイアミ・ヘラルドが「ジーターCEOの作戦」という5回連載記事でその計画を詳報した。

 作戦名は「ウルヴァリン計画」。ジーター氏が幼いころ育ったミシガン州の愛称ウルヴァリン州にちなんだ。ウルヴァリンは和名クズリ、中型日本犬ほどのイタチ科の動物で、クマをも恐れぬ勇猛さで知られる。ヘラルド紙はこの計画文書を地元の投資家2人から入手した。昨年8月、ジーター氏のグループがマ軍買収競争で追加の投資者を募る内部文書だ。「1年目から利益を出す」と書かれた“計画”の一部が実現されつつあるのにヘラルド紙は注目した。高額年俸選手放出で年俸総額を下げる。ローカル・テレビ局との中継契約見直しとスポンサー契約の増進、入場料収入の増額を見込む。大リーグ機構(MLB)と30球団で保有するメディア会社から派生した子会社をディズニー社に売却した分配金約50億円が入る。これで黒字に…。

 「確かにそうだが」とヘラルド紙は厳しく続ける。年俸削減と会社売却の分配金での一時的な黒字。昨季のナ・リーグMVPスタントンや盗塁王ゴードンらの放出の年俸削減は戦力とスターの喪失、スポンサー獲得や中継権料アップ、ファン増加に連動するはずがない。

 「2021年に年俸は大リーグ平均以下から大幅アップ」とは、マ軍が優勝争い可能チームになるのは4年後ということ。「戦力分析と資金の流れの見通しが甘い」と経営コンサルタントたち。投資家募集のプレゼン計画だからそれも当然だが、計画名の勇猛さに突進の覚悟がのぞいているようだ。 (野次馬)

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