キャロル、カーターなど、新人野手たちがポストシーズンのひのき舞台で躍動

[ 2023年10月8日 15:19 ]

2回、ソロ本塁打を放ったダイヤモンドバックスのキャロル(AP)
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 ポストシーズンの大舞台でルーキー野手たちが躍動している。公式戦中ファングラフスのWAR(Wins Above Replacement/代替可能選手(Replacement)に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか」を統計的に推計した指標)で6・0と新人トップだったダイヤモンドバックスのコービン・キャロル(23)は、同チームのベストプレーヤーだが、7日(日本時間8日)は本塁打を含む5打数2安打2打点と期待通りの活躍で、ドジャース戦の11-2の勝利に大きく貢献した。

 キャロルは、ワイルドカードシリーズでもブルワーズ相手に9打席に立ち、7打数4安打2四球、1本塁打、1二塁打、2打点だったが、勢いが止まらない。

 レンジャーズもこの日、ア・リーグ第1シードのオリオールズを3-2で倒したが、5番・左翼でスタメンの新人エバン・カーター(21)が4回に先制打、6回にはジョシュア・ヤング(25)がソロ本塁打で貴重な追加点と2人のルーキーが打線を牽引した。

 カーターは公式戦に23試合しか出ていないが、その中で5本塁打を放ち球界を驚かせた。ワイルドカードシリーズでもレイズ相手に8打席に立ち、4打数3安打3四球、1本塁打、2二塁打だった。ヤングも公式戦23本塁打の活躍の後、ワイルドカードシリーズでも8打数3安打2打点だった。

 ひのき舞台で躍動する新人は他にもたくさんいる。WAR4・6でア・リーグの新人王最有力候補のオリオールズのガナー・ヘンダーソン(22)は、この日、レンジャーズに敗れたが、5番遊撃で先発、ヒットを打った。チームメートで7番二塁でスタメンのジョーダン・ウェストバーグ(24)もルーキーだ。ダイヤモンドバックスに敗れたが、ドジャースの8番中堅で先発したジェームズ・アウトマン(26)も新人。公式戦のWARは4・4だった。

 新人が3人もスタメンでプレーするのはツインズだ。ロイス・ルイス(24)は22年と23年に70試合しか出ていないが、その限られた機会に5度の満塁本塁打。ケガが多いが、出れば大活躍だ。ワイルドカードシリーズでもブルージェイズ相手に8打席に立ち、6打数2安打2四球、2本塁打、3打点だった。この日も3番DHでスタメン、5打数1安打1本塁打だった。

 そのほか、エドゥアルト・ジュリアン(24)は1番2塁で4打数1安打、マット・ウォルナー(25)は7番左翼で、1得点を挙げている。このツインズを倒したアストロズには、この日の試合には出ていないが、新人捕手のヤイネル・ディアス(25)がいて、公式戦の成績は打率・282、23本塁打、60打点である。

 今年は新人の当たり年だ。実は新人野手の公式戦のWARの総計は68・6で1900年以降だと、15年の75・1に次ぐ高い数字になっている。15年はクリス・ブライアント、カルロス・コレア、フランシスコ・リンドアらがデビューした年である。新人野手のWARが高いトップ7球団のうち、6球団が最後までポストシーズン争いに加わり、5球団が進出、7・1のツインズ、6・4のダイヤモンドバックスなど4球団が今現在も地区シリーズで戦っている。反対に新人野手のWARが低い7球団のうち、ポストシーズンに出たのはレイズだけ。エンゼルスはマイナス0・2だった。

 ツインズのロッコ・バルデリ監督は「若くて、活気のある新人たちはチームに活気をもたらしてくれる」と大歓迎。とりわけルイスについては「彼のインパクトは測りきれない。彼がいてくればうちはずっといいチーム」と目を細める。

 なぜ今季これだけ新人野手が活躍しているのか。大きな要素の一つは新しい労使協定で、これまでのように選手のデビューを意図的にずらし、調停権やFA権を得るタイミングを遅らせる意味が少なくなったことがあるだろう。見どころのある若手はマイナーの階段を早く登らせ、早めにメジャーキャンプに招待し、オープン戦でトップレベルの投手と対戦させ、才能を見極める。

 加えてAP通信によると、メジャー球団とマイナー球団の連携が進み、対戦投手のデータ分析、ビデオによるスイング解析など、システムも統一。ゆえにメジャーに昇格しても、若手は戸惑いがなくプレーできる。加えて今年の新人たちについては、22年から3Aでピッチクロック、けん制球制限など、新ルールの下でプレーしていたから、メジャーリーガーよりも慣れていたということがある。新人たちの快進撃は続きそうだ。

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