森繁和氏 コーチのいろはを教わった杉下茂さんを追悼「準備を怠らないことの大切さを」

[ 2023年6月17日 06:45 ]

杉下茂さん逝去

中日・北谷キャンプで、投手のピッチングを見守る、(左から)落合博満監督、杉下茂氏、森繁和バッテリーチーフコーチ(2008年撮影)
Photo By スポニチ

 体が飛び抜けて大きく、いくつになっても本当に元気な人だった。フォークの神様。手も驚くほど大きい。ビール瓶の太いところを人さし指と中指で挟んで、そのまま注ぐのを見せてもらったことがある。周りでまねをしても誰もできない。指を広げ、鍛える練習は若い頃からずっとしていたと言っていた。

 コーチのいろはを教わった。西武の1軍投手コーチ2年目だった93年、杉下さんも西武コーチに。管理部長の根本陸夫さんに「杉ちゃんにいろいろ聞いて勉強しろよ」と言われた。ブルペンを担当してもらい、ローテーションの組み方などで相談に乗ってもらった。

 最も勉強になったのは投手の交代について。最終的に決めるのは監督だが、悩み、困っているような時は「これとこれ、こういうデータがあります。ブルペンでは○○がいいですよ」といつでも提示できるように。準備を怠らないことの大切さを教わった。

 声を荒らげるようなことはなく、口調も優しい。私が落合博満監督の下で中日ヘッドコーチなどを務めていた時も毎年、春季キャンプで臨時コーチを務めてもらった。杉下さんの奥さまには、キャンプ訪問を本当に楽しみにしていたと聞いた。フォークを教わり自信になった若手投手もたくさんいた。いつまでも元気だと思っていた。本当に寂しい。  (本紙評論家)

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年6月17日のニュース