大野豊氏「勇姿忘れることは決してない」 理想の後輩・北別府さんを追悼「投手らしい投手だった」

[ 2023年6月17日 07:00 ]

北別府学さん逝去

91年6月、連続セーブ記録を13に伸ばした大野(右)と笑顔で握手をかわす勝利投手の北別府

 実は知人から数日前に危篤だと知らされ、“心の準備をしておいてください”と言われていた。それでも何とか元気になってほしいと願っていた。釣りに行ったり、一緒によく遊んだ仲。苦しい闘病生活を乗り越え、元気になってまた会おう…とメールでやりとりもしていた。ショックはとても大きい。寂しいし、残念でならない。

 投手らしい投手だった。自分のあるべき像をしっかり描き、必要な要素を全て備えていた。中でも、私が魅力を感じていたのは制球力だ。球速のことを言うと彼は機嫌を損ねるので口にできなかったが、緩急や出し入れ、配球で勝てる投手だった。加えて、子供たちに教えてあげたい理想的なフォーム。筋肉バランスといい、非常にうらやましかった。

 物事をはっきり言うタイプ。自分にも厳しく、弱さを決して見せない。投球にはもちろん、苦しい中で治療を続け、必死に病魔に打ち勝とうとしていた闘病生活にも、彼の強さが表れていたと思う。

 球団史上初の200勝という偉業を成し遂げた投手。私が年上ではあっても、彼から学ぶことは少なくなかった。93年に亡くなった津田恒実もそうだが、その勇姿を忘れることは決してない。北別府学は心の中でずっと居続ける。合掌。 (本紙評論家)

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