北別府さんの完封勝利数「28」が背番号 広島・床田が弔いの完封劇 ウイニングボールは後日家族へ

[ 2023年6月17日 05:03 ]

交流戦   広島2-0西武 ( 2023年6月16日    マツダ )

<広・西>北別府学氏の逝去を受け、黙祷を捧げる床田(左)ら(撮影・平嶋 理子)
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 広島・床田寛樹投手(28)が16日、西武戦で9回5安打無失点に抑える好投でチームトップの6勝目を挙げた。今季最多の115球の熱投。再び規定投球回に達し、防御率1・69でリーグトップに浮上した。22年5月10日の阪神戦(甲子園)以来となる通算3度目の完封勝利で天国に旅立った伝説の大エース北別府さんに勝利をささげた。

 負けられない一戦だった。2点優勢の9回2死。最後は代打・栗山を外角へのカーブで一ゴロに仕留め、27個目のアウトを奪った。今季最多115球の熱投。5安打無失点で役目を果たした床田はホッとしたような表情を浮かべ、選手たちとハイタッチを交わした。
 「先発していたら、みんな(最後まで)行きたいと思う。今日は行かせてもらえた」

 特別な思いを胸に秘めマウンドに向かった。北別府さんの訃報を受けて試合前には両チームが黙とう。広島ナインは喪章をつけ、球場には半旗が掲げられた。「(北別府さんの訃報を受けて)意識した。いい報告ができるようにと思って投げていた」。偉大な大先輩に勝利を届けるために腕を振った。初回を3者凡退に抑えると波に乗った。得点圏に3度走者を進めても、打たせて取るスタイルを貫いた。要所では併殺を奪うなど15個のゴロアウトを集め、相手に流れを渡さなかった。

 「(北別府さんとは)そんながっつりではないですけど、しゃべったことはある。結果、こうやって勝てて良かった」

 評論家として球場を訪れた際には、直接激励を受けたこともあった。北別府さんの通算完封勝利数は28。くしくも同じ番号を背負う7年目左腕は不思議な運命に導かれるように、最後までマウンドに立ち続けた。22年5月10日の阪神戦以来となった通算3度目の完封勝利。そのウイニングボールは球団関係者が保管しており、後日、北別府さんの家族に届けられる予定だ。

 「野手に助けてもらいながら、うまくリードしてもらって、凄くいい勝ち方ができた」

 再び規定投球回に達し、防御率1・69でリーグトップに浮上した。今季は登板10試合のうち9試合でクオリティースタート(QS=6回以上、自責3以下)を記録するなど、安定感が際立つ。新井監督も「もう床田に尽きます。ナイスピッチングだった。きょうは北別府さんが見てくれていると思って、みんな頑張ってくれたと思う」と感慨深げな様子だった。先発陣の中心として躍動を続ける床田が伝説の大エースの背中を追いかける。(長谷川 凡記)

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