【能見篤史氏 直撃キーマン1】阪神・岩貞 貯金5個指令に“師匠はお手本でした”と言える成績残す

[ 2023年2月23日 06:00 ]

能見氏(右)から背番号「14」を受け継ぎ、気合みなぎる岩貞(撮影・北條 貴史)
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 阪神の岩貞祐太投手(31)がOBでスポニチ本紙評論家の能見篤史氏(43)と対談し、先発での「貯金5」指令を受けた。中継ぎから先発に再転向する難しさに配慮しつつも、同氏は白星量産でチームにとって「うれしい誤算」になることを期待。入団時から師事してきた岩貞も投球フォームに関する悩みを師匠にぶつけ、的確な助言を授かるなど手応えを得た。(取材・構成=遠藤 礼)

 能見 (自身もつけた背番号14を背負う岩貞の姿を見て)まだ自分の色になってないもんなあ。俺の悪いところだけ似るのはやめてよ。“以前の(背番号)14と一緒だな”と言われるなよ!

 岩貞 恐れ多いですが、頑張ります。

 ――改めて岩貞投手にとって能見氏の存在は。

 岩貞 師匠ですよ。

 能見 全然(違う)。岩貞が自分で成長していっているだけやからね。

 岩貞 僕も将来、(後輩に対して)こんなことを言ってみたいです(笑い)。

 能見 16年の勝っている時を見た時は、このまま(すくすく成長して)いくだろうなと思っていたけど…。

 岩貞 …(苦笑い)。

 能見 紆余(うよ)曲折あってね。それは今後に生きるよ。

 ――岩貞投手が能見氏から一番学んだことは。

 岩貞 もう、全部です。練習姿勢から配球や自主トレ期間中の食事までずっと聞いていました。マウンド上で困った時も“能見さんはこうやっていたな”とか。逆に背伸びして、能見さんのマネをしていると“策におぼれるなよ”と言ってくださったり。ここから2、3年としっかり成績を残して、“能見さんは先発投手としてのお手本でした”と言えるようにしたいです。

 能見 でも、打撃がダメだからなあ。

 岩貞 めっちゃ練習してます! 

 能見 一度もセンスを感じたことがない。

 岩貞 僕も感じたことはないです。でも、ミート力は絶対に上がっています!

 ――能見氏に公約を掲げてほしい。

 岩貞 読めないシーズンですけど、先発だったら25試合は投げたいですし、リリーフだったら50試合投げたい。能見さんからの指令でお願いします!

 能見 指令か…。先発をやるなら、チームにうれしい誤算になってほしいよね。1人で貯金を5個はつくってほしい。先発に再び挑戦するというところで貯金5もしてくれたら、こんなにうれしいことはない。それをできる能力はあるから。

 岩貞 どうにか…頑張ります!

 ――岩貞投手は優勝を経験していない。

 能見 あ、ごめんね(阪神、オリックスでリーグ優勝。オリックスで日本一も経験)。優勝はリーグは1チーム、日本一は12球団で1チームしかできない。そこまで来る過程というのは財産になる。今年、そのチャンスはあると思う。

 岩貞 もう現役生活は絶対に折り返しているので、一回は優勝したいです。

 能見 中心選手としてチームに貢献して優勝してほしい。僕はあまり投げていない時に全部優勝しているから。05年も、オリックスもそうだしね。充実感が違うと思う。そこは経験してほしい。今、間違いなくチームに欠かせない選手になっている。そこは、まだ岡田監督も分かっていないと思う(笑い)。後輩からもイジられる選手。後輩からしたらチームにいて楽しい選手。オリックスでも比嘉が後輩からもイジられて、ムードメーカーになっていた。岡田監督の部屋の前に、この対談記事が載っているスポニチを10部くらい置いておけば大丈夫やろう。

 岩貞 お願いします!スポニチにかかっていますので。

 能見 今年は挑戦する一年。見えない部分もまだあるけど、頑張ってほしい。

 岩貞 苦しい時もあると思うんですけど、気合と団結力で乗り切って優勝したいと思います!
(②に続く)

 <16年に先発で10勝>岩貞は先発時代の16年に自己最多の10勝を挙げたが、9敗しており貯金はわずか1だった。20年は7勝3敗で貯金は最多の4を記録しているが、シーズン途中にリリーフに転向して先発で2勝、救援で5勝だった。また同年には最速が150キロに到達。以降も徐々に更新し、昨季8月18日のヤクルト戦(神宮)では154キロまで伸ばしている。

 ▽今キャンプの岩貞 初日の1日は能見氏が見守る中、ブルペンで51球。「めちゃくちゃ気になりましたよ。能見さんばかり見てました」。14日には実戦形式のフリー打撃に登板し、カウントを意識した投球を展開。19日には初実戦の韓国・サムスン戦で2回で打者6人から4三振を奪う完全投球。先発再転向で解禁したチェンジアップの精度に手応えを示した。

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2023年2月23日のニュース