キャンプ取材 40年前に人生で初めて直筆サインをもらった人と再会

[ 2023年2月23日 08:00 ]

明大時代の竹田スカウト
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 初めてのプロ野球キャンプ取材が終わりを迎える。還暦を前に新たな世界へ飛び込むことは、期待よりも不安の方が大きかったが、ロッテ球団の関係者をはじめ、多くの方々の協力もあって何とか乗り切ることができた。たくさんの人に出会い、多くのことを学び、いろいろと助けられて感謝しかない。選手たちは息子の年齢に近く、上から目線で言わせてもらうと「この子たち、みんな野球上手いのに、よく練習するなぁ~」というのが率直な感想だ。

 全員がキラめく才能を持っていることは見ているだけで分かる。だが、才能だけで野球をしている選手は一人もいない。結果を残せなければ、プロとして競技を続けることが許されない世界。キャンプという鍛錬の場ではあったが、厳しい勝負の世界に生きる男たちの“覚悟”に少しだけ触れることができたような気がする。

 少々、ミーハーな感じになってしまうが、現役時代の活躍ぶりを知る福浦ヘッド、黒木コーチ、小坂コーチらに間近で会ったり、話せたりしたことには感激した。今年から2軍打撃コーチとして加入した栗原コーチは、彼が高2の夏に甲子園出場を決めた山形大会の決勝を取材して以来の再会だった。そしてもう一人、思いがけない人との再会もあった。横浜DeNAの竹田光訓スカウトだ。

 石垣島キャンプを視察に来ていた他球団の関係者と名刺交換。その名前を見て思わず声を上げた。実は竹田さんは40年前に自分が人生で初めて直筆サインをもらった人だった。出会ったのは竹田さんが明大4年でドラフト直前、場所は東京・調布市の甲州街道沿いにあった鉄板焼きの店だった。当時、自分は新聞配達をしながら2浪中の身。竹田さんは第1志望校の野球部のエースで、「東京六大学のビッグスリー」と呼ばれ、複数球団が1位候補に挙げるスター選手だった。直接話しかけることができず、お店のママさんを介してサインを依頼。なんと新聞販売店から支給された集金バッグにサインしてほしいという失礼なお願いだったが、竹田さんは快く応じてくれた。そして「次に来る時は○○(意中の球団)の竹田ですから」と笑って店を出ていかれた。

 そのことを竹田さんに話すと、覚えていなかったものの、店のことはよく覚えていて、代替わりしたことや移転したことを教えていただいた。結局、3度目の受験にも失敗。竹田さんの後輩になる夢は叶わず、サインしてもらったバッグも行方知れずだが、定年を目前にしてプロ野球担当を拝命し、竹田さんに40年ぶりに再会できたのだから人生は実に面白い。今回のキャンプではロッテの選手たちがたくさんのファンにサインする姿を見てきた。それも未来の再会につながっていくのかもしれない。(ロッテ担当・大内 辰祐)

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2023年2月23日のニュース