明豊・牧野生徒会長 2戦連続の決勝打、川崎監督も絶大な信頼「後輩の見本になるような選手」

[ 2022年8月13日 04:04 ]

第104回全国高校野球選手権第7日・2回戦   明豊7―5一関学院 ( 2022年8月12日    甲子園 )

<一関学院・明豊>9回1死満塁、明豊・牧野は勝ち越しの左前適時打を放つ(撮影・後藤 大輝)
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 2回戦4試合が行われた。明豊(大分)は一関学院を7―5で下し、2017年以来5年ぶりの3回戦進出を果たした。5―5で迎えた9回に副キャプテンで生徒会長も務める6番・牧野太一内野手(3年)の左前適時打などで2点を勝ち越し、点の取り合いとなった接戦を制した。牧野は2試合連続の決勝打と勝負強さを発揮した。

 殊勲の一打を放っても、牧野は冷静沈着だった。5―5の9回1死満塁で外寄りの直球に食らいつき三遊間を破る勝ち越し打。学校では生徒会長、野球部では副キャプテンを務める牧野は「自分が打ったからといって必ず勝つわけではないですし、このあとの展開が緩んではいけないと思った」と表情一つ変えなかった。犠飛でさらに1点を加え、大分勢夏60勝目を手にした。

 昨夏の甲子園、牧野はスタンドから声援を送った。課題はスイング力の弱さだと感じていた。冬場は「これだけ振れば打てるという自信がつくまで振りました」。今春の九州大会からベンチ入り。今大会は1回戦の樹徳戦でも決勝の適時三塁打を放った。勝負強さを買われて8番から6番に昇格し、2試合連続の決勝打だ。川崎絢平監督は「自分の役割に繰り返して全力を注げる。後輩の見本になるような選手」と信頼を寄せている。

 部活動に打ち込む一方で「野球ばかりしていてもダメ。学校の支援があって野球ができているので、どういう形でも学校に貢献したい」と生徒会長に立候補した。周囲の見本となるよう授業中はしっかりノートを取り、積極的に挙手して発表も行い、大きな声であいさつをする。アルプス席から見つめた両親の教えである「当たり前のことを、当たり前に」を実践している。「学校でも活発に活動することで、多くの人が応援してくれて力になっている」と感謝しながら話した。

 最大3点差をつけられながら逆転し、川崎監督は「生徒が勝ちたいという気持ちを出して粘り強く戦ってくれました」と称えた。次戦は2回戦でサヨナラ勝ちと勢いに乗る愛工大名電とぶつかる。牧野は「2勝したからといって浮かれることはない。しっかり準備したい」と全国制覇という“公約”を見据えて気を引き締めた。(杉浦 友樹)

 ◇牧野 太一(まきの・たいち)2004年(平16)10月20日生まれ、大阪府豊中市出身の17歳。小学1年の時に小鳩スプリンターで野球を始める。中学時代は硬式の豊中リトルシニアでプレー。高校では3年春の九州大会からベンチ入り。趣味は読書。1メートル67、64キロ。右投げ右打ち。

 《13年ぶり対決制す》明豊が甲子園で岩手県勢と対戦したのは13年ぶり。09年夏の準々決勝で花巻東に延長10回の激闘の末、6―7で敗れた。明豊は今宮健太(ソフトバンク)が最速154キロの投手、堅守の遊撃手の二刀流で活躍。花巻東は菊池雄星(ブルージェイズ)がエースとして君臨した。また、この日の明豊の勝利は大分県勢の夏60勝目となった。

 《鈴木が攻守で躍動》明豊は捕手の鈴木蓮(3年)が攻守で躍動した。2点を追う6回に右中間へソロアーチ。高校通算12本目に「今まで打った本塁打で一番いい感触」と胸を張った。牧野の適時打で勝ち越した9回には貴重な追加点を生む中犠飛を放つなど3打点の活躍。守りでは5回無死一、二塁で送りバントがファウルゾーンへの小飛球になったのをダイビングキャッチ。ファウルフライを追って三塁ベンチに飛び込む場面もあるなど、気持ちのこもったプレーを連発した。

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2022年8月13日のニュース