左腕エースへ2年目の壁ぶち破る! オリ・能見のような息の長い選手に 阪神・伊藤将インタビュー

[ 2022年2月15日 05:30 ]

宜野座村野球場に設置されたのぼりを手にポーズを決める阪神・伊藤将(撮影・成瀬 徹)
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 阪神の伊藤将司投手(25)が14日、本紙のインタビューに応じ、2年目の壁をぶち破る決意を明かした。対策を講じてくるであろう他球団に対して、不安がないことを宣言。今オフ、合同自主トレを行ったオリックス・能見篤史投手(42)の背中を追いかけ「左腕エース」として40歳を超えてもトップレベルの舞台で腕を振る未来図も描いた。(取材構成・遠藤 礼)

 ――すでに紅白戦、対外試合と実戦にも2度登板。1年目だった昨春のキャンプとは充実度が違う。
 「そうですね。昨年よりも仕上がりも早くできていますし、自分の中ではすごく良い状態だと思っています」

 ――取り組みたいこと、課題にしていることに集中できている。
 「今年は自分の考えているペースで、できているので本当に良い形で過ごせています」

 ――開幕ローテーションに入り、10勝も挙げた1年目。通用したと感じる部分は。
 「ストレートも被安打が少ないので、自分の真っすぐが通用するんだなと感じることができましたし、ツーシーム、チェンジアップでゴロを取る自分のスタイルが体現できたので自信にはなりましたね。そこの部分は自分が思った以上にプロでも通用したというのが実感ですね」
 ――逆に物足りなかった部分。これからレベルアップをしていきたい部分は。
 「やっぱり夏場が…。もうちょっとしっかり投げたかったというのが物足りなかった部分ではありますね」

 ――原因は分かっている。
 「やっぱり体力面ですね。ちょっとしんどいな、疲れているなという日の割合が多かった感じですね」

 ――1年目に活躍すれば、2年目の壁と言われる。意識はしてるか。
 「それはあまり考えていないです。相手も対策はしてくるので、自分も1年間やって対策できるようにしているので、あまり気にしないようにしてますね。不安や怖さもないです。いつも通り投げられればいい、と考えてるぐらいですね」

 ――2年目の投手が進んで開幕投手を希望するのは珍しい。真意はあるのか。
 「監督にこうやって名前を挙げてくださったので、しっかりアピールをして開幕投手になれるように頑張りたい。開幕投手を務めるのは、チームに信頼される投手だと思うので、そうなりたいです」

 ――チームを背負う責任感を味わってみたい思いは。
 「西(勇)さんとか、ヤギさん(青柳)、秋山さんも大事な場面で投げているので、自分もそういう試合で投げて、今後は勝っていかないといけないので。チームにとって大事な試合を任されるような投手を目指していきたい」

 ――左のエースが能見選手以来、出てきていない。
 「そこはやっぱり目指したいですし、左のエースと呼ばれるような存在にはなりたいなと思っていますね」

 ――チーム内の左投手は意識するか。
 「意識は結構しますね。気になりますし、その中で勝っていかないと試合で投げられないので。いつも生き残れるようにやっていきたいと思っています」

 ――200勝投手、長く現役を続ける、いろいろなキャリアがある中で目指すものは。
 「やっぱり能見さんのように40歳を超えてもトップレベルで投げられるような、長く現役を続けられる投手になりたいという思いは強いですね」

 ――能見選手とは自主トレする縁に恵まれた。
 「あれだけ長くプロ野球で活躍されている能見さんと、2年目を前に自主トレができたことは自分にとってプラスになることはたくさんあったので幸運だったと思います」

 ――財産になった部分は。
 「やっぱり技術的な部分で、能見さんはキャンプ中、ほとんどストレートしか投げないと聞きました。自分の中でストレートだけを投げて仕上げるという考えはなかったので。そういう話を聞けたので、やってみようと」

 ――ストレートだけを投げ込む調整を取り入れた効果は。
 「実際にしっかり指にかかったストレートを投げられるようになりましたね。ストレートを投げていけば、他の球種も自然と投げたくなるんですが、そこは我慢というか、しっかり指にかかるストレートを投げることの重要性を実感していますね」

 ――ストレートの精度や質が向上すれば課題の夏場も乗り切ることにつながりそう。
 「やっぱり昨年、苦しんだ夏場は変化球でかわそうという投球が多かったので。そういう時にしっかりとストレートを投げ込む、真っすぐあっての変化球というスタイルが夏場を乗り切ることにつながると思っています」
 ――苦しんだ夏場は先輩にも相談した。
 「よく秋山さんに話を聞いてもらうんですけど、調子が悪い、勝てない、うまくいかない時は(打たれたその1試合だけじゃなく)自分の成績、防御率を見ながら調子の良さを確認した方が良いよとアドバイスをもらいました。どうしても自分は、その目の前の試合の結果で見てしまうので。そんな見方もあるんだなと思いました」

 ――背番号27は以前に秋山選手が付けていた番号。
 「それは言われました(笑い)。俺が前に付けていた背番号だからなと。光栄です!(笑い)」

 ――打たれても抑えても感情を露出しないように見える。こだわりはあるのか。
 「あまりグラウンドでは表情に出さないように意識をしています。嫌な顔をするのは野手の方にも失礼だし、歯を見せて笑顔で投げるのも相手に隙を与えている感じがするので、無表情でポーカーフェースでやろうと心がけてますね」

 ――昨季は同期入団も大活躍。仮定の話で、完封目前の2死満塁で対戦するのが嫌な打者は佐藤輝か中野か。
 「満塁ですよね?満塁なら中野ですね。やっぱりバットコントロールがあるので。走者がいない時なら輝ですね。中野は社会人の時にやって、あいつ4タコなんで(笑い)。輝と勝負したいですね!」

≪取材後記≫ 伊藤将とは会話はおろか昨年、取材で質問をぶつけたこともなかった。コロナ下で接する機会がなく、名刺を渡したのも1カ月前。だが、インタビュー前にあらためてあいさつすると「遠藤さんってインスタやってますよね。見ています」のひと言で空気が和んだ。15分という限られた時間でのやりとり。2年目の壁について「自分も1年間やって対策をしてる。気にしていない」という意気込みには、内に秘めた自信を感じた。有言実行の1年をしっかりと見届けたい。(遠藤 礼)

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