ヤクルト担当記者が見た“プロ野球withコロナキャンプ” 帰ってきた観客とまだ戻らぬ日常

[ 2022年2月15日 05:30 ]

有観客となったヤクルト浦添キャンプ
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 プロ野球の12球団は新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底しながら、今月1日から沖縄と宮崎で春季キャンプを行っている。同じコロナ下だった昨春との大きな違いは2年ぶりの有観客。現状をヤクルト担当2年目の青森正宣記者(35)がリポートした。

 「青木だ!」「奥川だ!」。野球少年がパンフレットを見ながら選手を捜す。「お客さんがいると、格好いいプレーを見せようとモチベーションになる」と山田。フリー打撃で柵越えを放てば拍手が起こり、塩見は「にやけますね」と喜んだ。コロナ禍前の日常を感じさせる光景だ。

 2年ぶりの有観客。球団と沖縄県浦添市は徹底した感染対策のもとキャンプを運営している。ロッカーや移動車にオゾン除菌脱臭器を設置。客席はオンラインでの事前申請で1席空きの全席指定だ。受付で検温、消毒を済ませ、配布されるリストバンドを着けて入場する。密を避けるためブルペン見学はできないが、生で選手を見られるのはファンにとってはうれしいはずだ。

 東京から来た中村ファンの30代女性は「(新たな背番号)27番を早く見たくて来ました」と笑顔。地元の50代男性は「いつもキャンプ地をはしごして、どんな練習をしているのか参考にしている」と沖縄の県立高校の野球部に所属する息子と来場した。沖縄では今月20日までのまん延防止等重点措置の期間中、県立高校の部活動は原則休止。「練習ができない…」ともどかしげに語った親子の姿に、コロナ禍の厳しさを改めて感じた。

 ウィズコロナの取り組みもある。浦添市観光協会では今年からキャンプ地周辺の飲食店を巡るスタンプラリーを、スマホアプリを活用してデジタル化した。以前は1月中旬までに申し込んだ店舗の名前が載った台紙を作製していたが、接触を減らすため廃止。参入がキャンプ中でも可能になり、担当者は「昨年までは12、13店舗でしたが、今年は50店舗ほど参加してくれています」と地域経済の活性化を実感している。

 グッズショップも盛況だ。店員によると昨年は最多でも100人弱だったが、今年は初日に200人。最初の土日には各350人が訪れた。昨年にはなかったキッチンカーも並ぶ。スタンドでは水分補給以外の飲食は禁止されているため、ファンは球場外でキャンプグルメを楽しむ。元通りではない。でも、確実に前に進んでいる。

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2022年2月15日のニュース