中畑清氏 無観客の五輪野球 声援届ける工夫がほしいな

[ 2021年7月13日 06:00 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】無観客だからといって無関心じゃいられない。開幕まであと10日に迫った東京五輪。首都圏の1都3県に加えて北海道、福島県が無観客開催を決めた。

 残念だよ。アスリートと観客が一体になってこそ生まれる感動がある。それが今回は期待できないんだからね。でも、嘆いてばかりじゃつまらない。東京は新型コロナウイルスの感染が再び拡大して4回目の緊急事態宣言。飲食業をはじめ多くの人が苦しんでいるのに、五輪だけ特別ってわけにはいかないよね。

 そもそもお客さんを入れるとしても、会場の収容人員の50%以内で上限1万人が原則だった。しかも海外からの観客を受け入れないことは早々と決まっていた。スタンドは日本在住の外国人と五輪関係者を除いて、ほとんど日本人になってたわけだよね。いくら地元開催といっても、あんまりな光景になっていたんじゃないかな。

 その点、無観客ならどの国の選手も同じ条件で競技できる。日本の選手には「地の利」がなくなったかもしれないけど、「日本だけズルい」なんて言われることもなくなった。全てのアスリートがスタンドに影響されることなく競技に集中し、無観客ならではのパフォーマンスが生まれるかもしれない。そう思えば、前を向ける。

 一番楽しみなのはやっぱり野球だね。3大会ぶりの競技復活。24年のパリ五輪ではまた除外されるから、次はいつになるか分からない。日本の野球は世界ランク1位。米国じゃ大谷翔平がメジャーリーグ最高のパフォーマンスを見せている。金メダルを獲って世界一を強くアピールしてほしい。

 我が故郷の福島県で行われるソフトボールと野球。私も両方の初戦、21日と28日にあづま球場を訪れるよ。取材でね。野球の初戦の相手は巨人のメルセデス、サンチェスもいるドミニカ共和国。簡単に勝てる相手じゃないけど、いいスタートを切ってもらいたいね。

 最後になるけど、無観客の競技場に世界中の声援を届ける方法はないかな。リモートなんとかを使ったりしてさ。コロナ下で行われる五輪。人類の英知を結集した工夫が何かほしいな。(本紙評論家・中畑 清)

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2021年7月13日のニュース