考えさせられた阪神―巨人での降雨コールド

[ 2021年7月13日 09:00 ]

<神・巨>7回無死二、三塁、コールドゲームとなり、球審に説明を求める原監督(撮影・坂田 高浩)
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 プロ野球のファンサービスについて考えさせられる事象があった。甲子園で取材した9日の阪神―巨人戦は、巨人が3点を追う7回に連打で無死二、三塁としたところで雨脚が強まった。27分間の中断の末、真鍋勝已球審が降雨コールドを宣告した。

 試合開始後(メンバー表交換後)、雨天中止やコールドを決定する権限は審判にある。同日の一時的な豪雨は激しく、内野グラウンドには数カ所水たまりができた。中断中に天気は回復、その後は晴れて一切雨が降ることはなかった。内野部分に新しい土を入れる整備を試みることはされなかった。

 記者席で、なぜ試合が1時間46分で打ち切られたのか「明確な理由」は分からなかった。グラウンド状況を見て、短時間での整備は不可能と判断したのか。雨雲レーダーから断続的に雨が降ると判断されたのか。コロナ禍の開催で、これ以上の遅延はできないと判断したのか。

 降雨コールドを宣告する際、審判が理由を説明する義務はない。過去に場内マイクでファンに説明する場面を見たこともない。だが、何を基準にコールドと判断したのかは知りたいと思った。スポーツに「たられば」はない。試合が続行していたらマウンドにいた阪神・秋山、もしくはバトンを受けた投手が意地を見せてピンチを抑えたのか、それとも巨人の逆転劇があったのか…。晴れた夜空を見上げながら想像した。

 ファンあってのプロ野球。かつてリプレー検証はなく、審判の際どい判定の映像を場内で流すことも「御法度」だった。時代は変わり、ファンの楽しませ方も変わった。リプレー検証中に、判定を待ちながらドキドキする心理をあおる音楽を流す演出も、各球場で行われている。

 球場に足を運んだファンに対し、降雨コールドの理由をアナウンスで説明してもいいのではないか。その方が両軍も納得するはず。審判団に対する敬意と尊敬の念にもつながると思う。(記者コラム・神田 佑)

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2021年7月13日のニュース