【イースタン期待の若手】巨人・山下航汰 ケガ克服“イチ以来の輝き”再び

[ 2021年7月13日 05:30 ]

主軸候補の可能性を秘める山下
Photo By スポニチ

 巨人で左の長距離砲として期待されているのが、高卒3年目・山下航汰外野手(20)だ。育成契約で入団し、1年目の19年に支配下登録されて1軍デビューも果たしたが、昨年5月に右手を骨折。以降はリハビリに専念し、今季は背番号「099」で育成選手として再出発している。支配下に復帰して1軍の舞台に戻るため、持ち味の打撃に磨きをかける。

 才能は誰もが認める。1年目の19年に1軍で12試合に出場し、プロ初安打もマーク。イースタン・リーグでは、92年イチロー(オリックス)以来となる高卒新人のファーム首位打者(打率・332)を獲得した。大きなケガを乗り越え、3年目の飛躍に向けて汗を流す日々だ。

 「(打撃の)状態とか言っている場合じゃない。常に結果を求めて取り組んでいます」

 コロナ禍で開幕が6月にずれ込んだ昨季。開幕前の紅白戦などでアピールし、開幕1軍も見えていた矢先の5月に右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折した。右手の小指と親指が一時的にくっつかない状態となり、握力も弱まった。軟らかいボールを握る動作の繰り返しや、ダンベルでのトレーニングなど地道なリハビリを続けた。

 バットも振れない期間も長かった。ただ、その間に自身がプロの世界で生き残るための武器を再認識することができた。「守備もたくさん練習して学ぶことも多かったですけど、結局どこで勝負するといったらバッティング。バッティングで支配下を取れればと思います」。高校通算75本塁打のパンチ力は近未来の主軸候補としての可能性を秘める。

 一方で、打撃以外の向上にも余念がない。1軍に同行した、今季のオープン戦期間のある日。元木ヘッドコーチの提案もあり、宮本投手チーフコーチと桑田投手チーフコーチ補佐に「弟子入り」してスローイングの助言を受けた。桑田コーチからは「距離が延びてきたら(軸足を)ケンケンして投げろ。足が使えるから」と指導されると、翌日も臆せず宮本コーチに自ら聞きにいった。このひたむきさも強み。今もキャッチボールで教えを実践している。

 打撃のテーマは「その打席の1スイング目で捉える」。一撃で仕留める確実性。その積み重ねが、再び1軍の打席に立つ最大の近道になる。(田中 健人)

 ◇山下 航汰(やました・こうた)2000年(平12)11月15日生まれ、大阪府出身の20歳。高崎健康福祉大高崎では1年夏の群馬大会から4番。2年時のセンバツで大会史上5人目となる2試合連続満塁本塁打を記録した。高校通算75本塁打。18年育成ドラフト1位で巨人に入団。19年7月に支配下登録されて12試合に出場し、12打数2安打(打率.167)。今季から再び育成契約となった。1メートル74、83キロ。右投げ左打ち。

続きを表示

2021年7月13日のニュース