日本ハム・長谷川、完璧プロ初登板 苦労人の力投が今季初勝利呼んだ

[ 2021年3月28日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム9ー4楽天 ( 2021年3月27日    楽天生命 )

<楽・日>楽天打線を封じる長谷川 (撮影・白鳥 佳樹)
Photo By スポニチ

 苦労人が今季初勝利を呼び込んだ。日本ハムの長谷川凌汰投手(25)が27日、楽天との開幕第2戦の7回に4番手でプロ初登板。1点リードの緊迫した場面で、力のある直球を軸に楽天の4番以下を3者凡退に斬って必勝リレーへつないだ。BCリーグの新潟時代にアルバイトしながら野球を続けた右腕。16日に育成から支配下契約したばかりで、チームの今季初勝利に貢献した。

 こんなシーンを願っていた。出番は1点差に追い上げられて迎えた7回。流れは完全に楽天へ傾いている。それでも、マウンドに上がった長谷川は恐ろしいほど冷静だった。

 「緊張はしませんでした。少し流れが悪くて、4番の浅村さんから。ホームランと四球をケアしていった」

 打席には昨年の本塁打王・浅村。落ち着いて状況を整理し、打ち取っていくプランを描いた。「四球で走者を溜めてドカンが一番いけない」。4球目まで全て外角の直球でカウント2―2。低めのスプリットで誘った後、フルカウントから147キロ直球で押し込んだ。平凡な中飛。「丁寧に投げる中で、自分のいいボールで抑えようと思った」。気持ちの入った威力ある直球だった。

 続く茂木はスプリットで三ゴロ、最後は鈴木大を直球で二ゴロに仕留めた。最速149キロで、流れを変える3者凡退。ベンチに戻ると、厚沢投手コーチから「おめでとう」と声を掛けられた。完璧な1軍初登板。12日前まで育成だった25歳の右腕が、鉄腕・宮西(8回)と新守護神・杉浦(9回)への必勝リレーの一翼を担った。

 「素晴らしかったね。苦しんで野球をやった人間は強い」。栗山監督はそう言って絶賛した。プロへの夢を諦めずに野球を続けたBC・新潟時代。オフの間はトレーニングとアルバイトの毎日だった。仕事はホームセンター「コメリ」の釘売り場。「肉体労働だった。丸太を運んだり。めちゃくちゃ重くて、しんどかった」。稼ぎは月15万円ほど。最低限の生活はできた。バイトは昼前から夜9時まで。朝と夜遅くにトレーニングして「お金を稼ぐ大変さが分かった」という。夢に描いてきた1軍のマウンドは、これまでの苦労が報われた瞬間でもあった。

 チームへ今季初勝利を呼ぶ魂の19球。長谷川のボールには誰よりも重みがあった。

続きを表示

2021年3月28日のニュース