智弁学園・前川 執念の決勝打「魂で持っていこうと」 目指すは5年ぶり日本一だ

[ 2021年3月28日 05:30 ]

第93回選抜高校野球大会第8日第1試合 2回戦   智弁学園5-2広島新庄 ( 2021年3月27日    甲子園 )

<智弁学園・広島新性>5回無死、右前打を放つ智弁学園・前川(撮影・成瀬 徹)
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 勝利への執念が乗り移った。遊撃手後方に上がった打球は、グラブをかすめてポトリ。高校通算31本塁打の智弁学園・前川右京が3回2死一、三塁で決勝の中前適時打を放った。大阪桐蔭との1回戦は3四球で無安打。今大会初安打が値千金の一打となった。

 「チームのメンバーが必死につないでくれた打席。魂で持っていこうという気持ちで打ちました」

 2死一、三塁から垪和(はが)拓海が同点の内野安打。押せ押せムードで、主砲が燃えないわけがない。内角のカットボールに食らいついた。本来の豪快な打球ではない。「そこばかり意識していたらチームの和を乱してしまう」と話すようにアーチより欲しいのは日本一だ。「ラッキーなヒットになりました」と声を弾ませた。

 フォア・ザ・チームの精神を最も重んじる。「裏で右京がバットを振っているのを見ると、必ず何人かに教えている。“人に優しくして努力しとったら、右京みたいになれるよ”と現役生に話しています」と話すのは津ボーイズの松本直也監督(48)。中学時代に培われた心意気が、大舞台で発揮された。

 もちろん、単打2本と1打点では満足などしない。「もっと気持ちを前面に出して勝負していきたい」。決勝打は、5年ぶりの日本一へ導くアーチを描くための序章に過ぎない。(北野 将市)

 《小畠 巧投で2失点完投 甲子園での借り返す》背番号10の小畠一心が9回6安打2失点で甲子園初完投勝利を挙げた。「チームが勝ったことが一番うれしい。ツーシームがよく動いた」。2回に先制を許してもコースを突いて打たせて取り、18個の内野ゴロを量産した。中学時代はU15日本代表に選出され、19年夏は1年生ながら八戸学院光星との初戦(2回戦)で先発。2回4失点で敗退した甲子園での借りを見事に返した。

 ○…智弁学園は優勝した16年以来の8強進出。奈良県勢2校の8強入りは77年(天理=8強、智弁学園=4強)以来、44年ぶり2度目。

 ○…8強が出そろい、近畿勢2校以上は16年から5大会連続。東京勢は12年の関東第一以来9年ぶり。中国勢は10年の広陵以降10大会連続で8強入りを逃した。

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