オリックス・宮城 64年ぶり“快投” 10代投手の開幕カード先発勝利は57年の米田哲也以来

[ 2021年3月28日 05:30 ]

パ・リーグ   オリックス3-2西武 ( 2021年3月27日    メットライフドーム )

<西・オ(2)>スタンドにあいさつする宮城(撮影・長久保 豊)
Photo By スポニチ

 19歳とは思えない落ち着き払ったマウンドだった。高卒2年目のオリックス・宮城が7回5安打2失点、8奪三振で今季初勝利。球団の10代投手では57年の米田哲也以来、64年ぶりの開幕カード先発勝利で、監督代行から今季正式就任した中嶋監督に「監督1勝」をプレゼントすると同時に52歳バースデーも祝った。

 「去年(シーズン途中まで2軍監督として)ファームでずっと見てくれた監督と一緒に1軍で勝てたことはすごく良かったです」

 2年目とは思えない「嗅覚」もあった。1点を勝ち越した直後の4回、先頭の山川をカーブで空振り三振に仕留めた場面。「スライダー要求だったのですが、狙われていると投げる瞬間に“気付き”があったのでカーブに変えました」とさらりと言ってのけ危機回避。また、7回には味方の失策も絡んで満塁から押し出し死球で1点差に詰め寄られた際も顔色一つ変えずポーカーフェースを貫いた。「出ない顔なんです。今日もベンチをウロウロして先輩に“落ち着けよ”と言われたくらいです」と無表情で振り返った。

 中嶋監督は「緩急を付けて、しっかり投げてくれた」と“孝行息子”を素直に高評価。記念球も受け取ったが「オレの誕生日はどうでもいいよ。昨日(26日)負けて、ズルズルいかないようにと考えていたので、その点では勝てて良かった」とチームの勝利を喜んだ。一日遅れの開幕星で1勝1敗。勝率5割は18年7月22日以来、979日ぶりだった。きょうも勝って貯金生活へ。今年はひと味も二味も違うところを見せつける。(湯澤 涼)

 【担当記者フリートーク】昨季の代行から正式に昇格しても「育てる」という中嶋監督の“根っこ”は変わらない。昨年10月のフェニックスリーグ視察の際に、就任要請を受けた心境を尋ねると「断ろうと思ったよ。“嫌”って言おうかなって(笑い)」との言葉が返ってきた。冗談好きな指揮官らしい言い回しだったが、本音だった。

 「ずっとヒリつくところでやってきて“一度じっくり”という思いがあったよね。面白いじゃん、やっぱり成長していくのを見るのが。チームの土台をつくりたいよね。しっかりした土台があって、上にいくほど細くとがるのはそうだけど、逆は絶対にないわけだから」

 太田と紅林を球団史上最年少の開幕二遊間に抜てき。この日は宮城が先発勝利し漆原がセーブ。勝利と育成の両立を図る指揮官の“チルドレン”が躍動してつかんだ1勝に「新生オリックス誕生」を予感させる。(オリックス担当 湯澤 涼)

 ○…19歳7カ月の宮城(オ)が先発で今季初勝利。10代投手の開幕カード先発勝利は18年、京山(D)が19歳8カ月でカード3戦目に勝って以来。オリックスに限れば阪急時代の57年、19歳0カ月の米田哲也が東映との2戦目で完投勝利して以来64年ぶり。チーム10代投手の開幕カード先発も米田以来だった。

 ◆宮城 大弥(みやぎ・ひろや)2001年(平13)8月25日生まれ、沖縄県宜野湾市出身の19歳。興南では1年春からベンチ入りし1、2年夏に甲子園出場。3年夏は日本代表としてU18W杯に出場した。19年ドラフト1位でオリックス入団。昨年11月6日の日本ハム戦でプロ初勝利。2軍では13試合で6勝2敗、防御率2.72。ウエスタン・リーグ最多勝を受賞した。1メートル71、80キロ。左投げ左打ち。

続きを表示

この記事のフォト

2021年3月28日のニュース