広島・クロンには“エルド魂” 通算133本塁打、鯉党に愛された助っ人の模範 「彼のように貢献したい」

[ 2021年1月19日 05:30 ]

マツダスタジアムで記念撮影するクロン
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 広島の新外国人、ケビン・クロン内野手(27=ダイヤモンドバックス)が18日、マツダスタジアムで入団会見した。新型コロナウイルスの感染拡大により外国人の来日制限がかかる中、12球団の新助っ人では一番乗りでの登場。球団駐米スカウトを務めるブラッド・エルドレッド氏(40)を理想像に掲げ、「エルド魂」の継承を誓った。

 一見何の変哲もない入団会見も、今年に限っては1月中に実現したこと自体が異例である。新型コロナの感染拡大により各球団、新助っ人の来日メドすら立たない状況の中、クロンが背番号10のユニホームに袖を通した。

 「チームからいくつかの選択肢をいただき、かなり早い来日となった。キャンプ前の期間を有意義に使って、キャンプ初日までにしっかりと準備したい」

 当初は1月中旬に来日する予定だった。ビザの早期取得により入国手続きが整ったことで、球団が年始の渡航を提案。今月3日の超速来日が実現した。2週間の自宅待機を経て本拠地を初訪問し、「球団が準備してくれた部屋でトレーニングもしっかりできた。食事も球団職員の方に差し入れてもらい、体も十分に準備できている」と感謝した。

 19年に38発で3A本塁打王に輝いた大砲は、複数の日米球団が獲得に動く中、広島への入団を決断した。駐米スカウトを務めるエルドレッド氏とは、電話で頻繁に連絡を取り合い、来日前から日本野球に順応するための指南を仰いだ。

 同氏は球団助っ人歴代最長となる7年間在籍し、同2位の通算133本塁打を放った。また、チームを第一に思う献身的な姿勢でコイ党から愛された。主戦は一塁、恵まれた体格を生かした長距離砲――。スタイルが重なる先輩の背中を追いかけると決めた。

 「彼が残した成績はもちろん、チームメート、球団、そして何よりファンの方に愛されていたことにすごく感銘を受けた。彼のようなチームに貢献できる選手になりたい。少しでも長く日本にいられるような、そういった素晴らしい選手になれればと思う」

 4番候補にも挙がる大砲が、1月中に来日した意味は大きい。「一生懸命プレーすれば本塁打、打点がついてくると信じている」。広島の新助っ人は、春季キャンプ初日からじっくりと調整する。 (河合 洋介)

 ◆ケビン・クロン 1993年2月17日生まれ、米カリフォルニア州出身の27歳。高校時代の11年、ドラフト3巡目(全体92位)でマリナーズから指名を受けて契約せず大学進学。14年ドラフト14巡目(全体420位)でダイヤモンドバックスと契約。19年5月24日のジャイアンツ戦でメジャーデビューし、通算47試合で打率・170、6本塁打、16打点。メジャー通算118発のCJ・クロン(タイガースからFA)は実兄。1メートル95、115キロ。右投げ右打ち。

 ▽エルドレッドという男 1980年7月12日生まれ、米フロリダ州出身。05年7月にパイレーツでメジャーデビュー。12年6月に広島入りし、14年に37本塁打でタイトル。「カントリー」の愛称で親しまれ、テレビCMにも出演。球場への通勤にママチャリを愛用する庶民的な一面もあった。18年オフに退団し、19年9月の引退後は広島の駐米スカウトを務める。在籍7年で133本塁打を放ち、球団外国人ではライトルの155本に次ぐ2位。現役時は1メートル96、126キロ。右投げ右打ち。

 【クロンと一問一答】
 ――なぜ日本でのプレーを選択したのか。
 「理由は2つ。まず、野球観をより深められると思った。日本に来れば、米国とのスタイルの違いを勉強できる。2つ目は、広島のファンが本当に素晴らしいと耳にしたこと。そこがカープとの契約を後押ししてくれた」

 ――日本でどのように成長したいか。
 「鈴木誠也を筆頭に、広島には素晴らしい選手がいる。初めての日本でのプレーなので、経験があり数字を残した彼らからたくさんのことを学んで、日本で成功したい」

 ―なぜ鈴木誠を知っているのか。
 「鈴木誠也のことは調べずとも、日本の野球を考えた時点で入ってくる名前。本当に素晴らしい成績を残して、誰もが知るスーパープレーヤーだと思う」

 ――来日後の隔離期間の過ごし方は。
 「ゲームもしたし、読書もした。前々大統領のオバマさんの本だったり、政治的なものなど、いろんなジャンルの読書をします」

 《他の新助っ人は見通し立たず》新型コロナに感染したフランスア、メヒアと同様に、新外国人のネバラスカス、バード両投手のキャンプ合流も依然見通せない状況だ。鈴木清明球団本部長が「2人ともまだビザ(査証)の見通しが立っていない」と説明した。右腕の前者は先発、左腕の後者は中継ぎ候補。調整遅れが懸念され、佐々岡監督は「(新外国人は)どの球団も同じ状況だと思う。早く来日してほしいけどね」と眉をひそめた。2年目のスコット、育成のコルニエルは来日済み。

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