ヤンキース 故障者続出の非常事態もピンチをチャンスに

[ 2019年4月13日 14:13 ]

ヤンキース・サバシア(AP)
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 下馬評では昨年ワールドシリーズ覇者のレッドソックスを抑えて、優勝候補の筆頭に挙げられていたヤンキースは、苦しい幕開けとなった。開幕からの対戦相手も西地区優勝候補のアストロズを除けば、オリオールズが2カード、タイガースと再建期を迎えた格下相手。スタートダッシュを決めたかったが、12日現在で5勝8敗と振るわない。

 出遅れの最大の原因は相次ぐ故障者だ。通算246勝左腕のCCサバシアが右膝と心臓の手術の影響、昨季19勝右腕のルイス・セベリーノが右肩の回旋筋腱板の炎症、先発左腕ジョーダン・モンゴメリーが左肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)、5年連続65試合以上登板のセットアッパーのデリン・ベタンセスが右肩インピンジメント症候群、救援右腕ベン・ヘラーがトミー・ジョン手術、昨季27本塁打の遊撃手ディディ・グリゴリアスが右肘のトミー・ジョン手術、同じく昨季27本塁打の正中堅手アーロン・ヒックスが背筋痛、通算1376安打の外野手ジャコビー・エルズベリーが臀部(でんぶ)手術の影響で、いずれも開幕を負傷者リスト(IL)で迎えた。

 さらに開幕直後に通算305本塁打のジアンカルロ・スタントンが右上腕二頭筋の張り、昨季27本塁打で大谷翔平と新人王を争った正三塁手のミゲル・アンドゥハーが右肩関節唇損傷、通算225本塁打の遊撃手トロイ・トロウィツキーが左ふくらはぎの張りを訴え、相次いでIL入り。12日には正捕手のゲーリー・サンチェスまで左ふくらはぎの張りでIL入りしてしまった。

 実に総勢12人がIL入り。非常事態と言わざるを得ない。

 13日(日本時間14日午前2時5分開始)のホワイトソックス戦では、12人のIL選手の先陣を切って、CCサバシアが復帰登板する。今季限りでの現役引退を公表している38歳。最多勝2度、07年ア・リーグのサイ・ヤング賞を受賞。イチローと同じ01年に20歳でメジャーデビューし、その年17勝で新人王投票ではイチローに次ぐ2位だった。前回09年のワールドシリーズ制覇の立役者の一人でもある左腕は、落ち着き払って言った。

 「プロのアスリートにケガはつきものだ。確かに厳しいものだよ。ただ試合はあるし、我々はプレーし続けなければならない。みんな1日も早く戻ってきたいし、その時にはチームが勢いづく」

 09年もアレックス・ロドリゲスを開幕故障者リスト(DL)で欠き、開幕直後にはエクゼビア・ネイディ、ホルヘ・ポサダら故障者が続いた。5月12日時点で借金2、地区首位からワースト6・5ゲーム差つけらた状況から、ロドリゲス、ポサダらの復帰で勢い付き、最終的に103勝を挙げて9年ぶりのワールドチャンピオンへひた走った。ピンチはチャンスという言葉がある。シーズンの大事な「流れ」を知るベテランの金言。苦境には違いないが、そこを耐えしのげばチームは一段と大きく成長できる。(記者コラム・後藤 茂樹)

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2019年4月13日のニュース