【キヨシスタイル】なんでやねん 首位快走阪神 金本監督“信念采配”のたまもの

[ 2017年5月16日 08:40 ]

阪神の金本監督
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 セ・リーグは広島が突っ走ってると思ったら、知らないうちに阪神が首位に立っている。なんでやねん。

 というわけで今回はタイガースの話。40歳の福留に35歳の糸井と鳥谷のベテラン3人が目立ってるけど、若手も日替わりヒーローでしっかり絡んでるんだよね。

 2年目の高山、正遊撃手になった北條、ゆくゆくは4番の可能性を秘める中谷、一塁に固定された原口、ルーキー糸原、正捕手を獲った梅野…。ずいぶん顔触れが変わったけど、誰がスタメンで出ても違和感がない。

 2年目を迎えた金本監督が勇気ある決断をし、信念の選手起用を続けてきた結果だね。

 阪神は巨人と同じく目先の1勝を求められるチーム。大胆な若手起用は裏目に出れば批判されがちだけど、自分の目を信じて「これは」と思う選手を使い続ける。

 新外国人キャンベルを代打要員にして純国産先発オーダーを組んでいるのもそう。外国人、特に1年目の選手は獲ってきたフロントに気を使って外しにくいんだけど、勝利優先。三塁はショートからコンバートした鳥谷を入れている。

 阪神打線で思い出すのは1985年。巨人戦でのあのバックスクリーン3連発で勢いに乗り、日本一に上り詰めたシーズンだ。バースの54本を筆頭に掛布雅之40本、岡田彰布35本、真弓明信34本と4人が30本塁打超えの重量打線。一塁を守りながらびびったもんよ。

 今年の打線に当時の迫力はない。でも、つながりがある。0―9からの大逆転勝利を収めた6日の広島戦(甲子園)。12点を奪いながら本塁打は一本もなかった。

 ベテランと若手が融合し、つないでつないで得点を奪う。そして去年と役割分担を入れ替えたマテオ―ドリスの勝利の方程式で逃げ切る。

 勝つためにはどうすればいいか。選手が仕事しやすい環境をつくり、個々の持ち味を引き出しての現状首位。それでも金本監督は「まだまだ」と言って決して選手を褒めない。若手を育て上げるまで妥協しませんよってわけだ。

 いい緊張感の中でチームづくりを進める阪神。信念の監督が選手を褒める日、ニュータイガース誕生の日を楽しみにしたい。 (スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2017年5月16日のニュース