八田高野連新会長 次の100年へキーワードは「地方」と「世界」

[ 2015年10月28日 11:28 ]

高校野球の次の100年へ向け熱い思いを語る高野連・八田新会長

 高校野球が始まって100年。夏の甲子園大会、U―18W杯の終了を待って日本高等学校野球連盟(高野連)の第7代会長に元同志社大学長の八田英二氏(66)が就任した。タイブレーク制の導入、投球制限など球児の健康面を考える動きが出てきている今の高校野球。次の100年に向けて新会長の思いを聞いた。(聞き手・特別編集委員 落合 紳哉)

 ――会長にはうれしい数字があったそうですね。

 「毎年、高野連が各高校の野球部に部員数を聞いたり、1年生から3年生までどれほど残っているか、つまり継続率ですね。以前は60%台だったのが今は89%ちょっとで約90%。10人に9人は3年間続けて卒業していく。大学に入りやすくなったというのもあるかもしれない。高校が4000くらいあって、甲子園に来るのは49。残りの学校は甲子園の土を踏まずに終わるわけで、本来はそこを教育として重視してあげたい。甲子園以外のところにもスポットライトを当てていただけたらいいなと思うわけです」

 ――100年を迎え、次の100年が始まります。

 「そうですね。今は東京一極集中ですけど、甲子園はそれぞれの代表が戦うわけです。ですから地方の起爆というか原動力というか、そういうものの一環に何かできればと考えているんです。それによって地方が盛り上がる。ローカリティーといいましょうか、ローカルの部分をもっと大事にしていきたい。それともう一つはグローバル化ですね。世界に向けて何かができればいいかなあと」

 ――具体的な考えはあるのですか?

 「この間のU―18は優秀な選手で一つのチームをつくったけれど、それだと優秀な選手が集まったチームだけの試合になってしまう。そうじゃなくて優秀な高校のチームが世界の高校チームと試合をして、今度は世界一の高校のチームはどこだ、というようなところまでいければいいかと。台湾でも強い高校がたくさんありますからね。甲子園の優勝校、準優勝校と台湾、韓国、米国あたりを集めてきて世界一の高校野球選手権。そうすれば自分たちの高校は世界一だというか、今までは日本一で終わっていたけれど、そうなれば面白いかなとね」

 ――地方と世界ですか。

 「そうです。野球は言葉が通じなくても、同じルールでできる。素晴らしいことです。そして地方。京都でいえば平安(龍谷大平安)じゃなくても応援する。一体感が生まれますね。先ほども言いましたがプロ志望じゃない、3年間課外活動で充実した青春を送ったそこの部分を大事にしてやりたい。マスコミの方もそのあたりをよろしくお願いします」

 ▽タイブレークとは 時間制限のない野球やソフトボールにおいて延長戦で人為的に走者を置いて、早期決着を図る特別ルール。野球では国際大会、社会人、大学、高校の一部大会で導入されており、各カテゴリーによって適用条件は異なる。都市対抗野球は延長11回まで同点の場合に12回1死満塁からスタート。大学野球は全日本大学選手権で決勝をのぞく全試合で9回まで同点の場合に延長10回1死満塁から始める。高校野球は現在、国体、明治神宮大会、春季都道府県大会と地区大会に限り採用されている。

 ◆八田 英二(はった・えいじ)1949年(昭24)3月20日、京都府生まれの66歳。中学から同志社一筋で71年に同大経済学部卒。73年同大大学院修了。77年にカリフォルニア大バークリー校大学院修了。経済学部教授時代は射撃部とハンドボール部の部長を務めた。98年4月に就任した同志社大学長を5期15年間務めた。この間、関西学生野球連盟、全日本大学野球連盟会長を歴任後、09年から全日本アマチュア野球連盟(現全日本野球協会)会長、10年から日本学生野球協会会長を務めた。今年9月、奥島孝康氏に代わって日本高野連第7代会長に就任。大阪市西区の日本高野連事務所には、JRと地下鉄を乗り継いで通う。

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