八田高野連新会長 投げすぎ論争に言及 投球制限は「ちょっと行きすぎ」

[ 2015年10月28日 11:25 ]

高校野球の次の100年へ向け熱い思いを語る高野連・八田新会長

 高校野球が始まって100年。夏の甲子園大会、U―18W杯の終了を待って日本高等学校野球連盟(高野連)の第7代会長に元同志社大学長の八田英二氏(66)が就任した。タイブレーク制の導入、投球制限など球児の健康面を考える動きが出てきている今の高校野球。次の100年に向けて新会長の思いを聞いた。(聞き手・特別編集委員 落合 紳哉)

 ――会長就任にあたって迷いはありませんでしたか?

 「これまで同志社の学長をしているときも、関西学生野球連盟の会長をしてましたし、日本学生野球協会の会長もしています。前会長の奥島先生とは、よく顔を合わせていました。会長というのは運営と人脈、内情も分かっていましたし、その点においては大丈夫かなと。理事の方に信頼を頂いたのだと思います」

 ――高校野球は100年を迎えました。

 「奥島先生も言っておられたが、高校野球は教育の一環なのです。人間形成なんて本を読んだだけでできるものではない。その点、クラブ活動は人間形成、礼儀、人との付き合い、協調性といいますか共同作業をする中でできる。高野連は教育機関だと思ってますよ」

 ――ところで済美の安楽投手(現楽天)以来、投球制限とか健康問題の声が出ています。

 「今、野球をやっている生徒は全国で約16万8000人。軟式を入れると約18万人くらいいます。1学年にすると約6万人。18歳の人口が約120万人、半分が女子ですから60万人のうちの6万人が球児。これは非常に大きい数字。今年、プロ志望届を提出したのはたかだか78人。自分を鍛えよう、楽しみたいと入ってきた残りの人の思いも大事にしてあげたい。あまりプロを意識して、こちらの活動自体を規制するというのは、本来の道筋ではないんだと思うんです。これは個人的な考えですよ。投球制限、イニング制限を設けて肩、肘の問題どうのこうのというのは、ちょっと行きすぎじゃないかという感じがするんですよ」

 ――そこでお聞きしたいのがタイブレークです。

 「もう一つの大前提は甲子園。この甲子園から離れられないということです。夏は涼しい北海道でやればいいじゃないかと評論家の方が書いておられるが、やはり甲子園という球場の持つ意味は大きいですね。タイブレークは地方では導入されてますけど、試行期間で高校生がどう感じるか。大多数は最後までやらせてほしいと思っているんじゃないでしょうか。評論家の方を見ていると、タイブレークをやれ、選手の健康面を考えたら日程をゆったりすべきとか、投球制限とか書いておられる。投球制限を設けると、小規模校は投手のやりくりがつかなくなるような感じがします。悩ましいところではあります」

 ――確かに難しい問題です。

 「監督さんが野球に対してどういう考えを持っておられるかにもよりますね。特に甲子園では最後までやらせてほしいと言われるかも分かりません、どうでしょうか?まだその辺は聞いていないので分かりませんが、個人的には甲子園ではね」

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2015年10月28日のニュース