岩隈 “戦友”対決制した ダルに「命の恩人」と言われた関係

[ 2013年4月14日 06:00 ]

<マリナーズ・レンジャース>3回、マリナーズ・岩隈(右)はレンジャース打線を三者凡退に抑え、チームメートに向かってガッツポーズ

ア・リーグ マリナーズ3―1レンジャーズ

(4月12日 シアトル)
 マリナーズの岩隈久志投手(32)が12日(日本時間13日)、レンジャーズ戦でダルビッシュ有投手(26)と先発対決。6回2/3を3安打1失点に抑え、32歳の誕生日を今季2勝目で飾った。メジャーでは敗れた昨年9月14日以来2度目の対決で雪辱を果たした。ダルビッシュは6回3安打3失点。レギュラーシーズンでは、昨年8月17日ブルージェイズ戦以来の敗戦投手となり、自身の連勝は6で止まった。

 試合開始時の気温は7・8度。白い息を吐きながら、岩隈は初回からギアをトップに入れた。

 「ダルビッシュとの投げ合いだったので、先制点を与えないように、最初から飛ばしていった」

 3回まで完全。唯一の失点は4回、キンスラーに左越えソロを被弾した。昨季も2発を浴びた天敵にフェンスをギリギリで越えられた。外野フェンスを最長14フィート(約4・27メートル)、本塁寄りに近づけた昨年オフの球場改修がなければ、左飛か二塁打だった打球。それでも「その後も慌てずに自分の投球ができた」と傷口を最小限にとどめた。

 開幕前にできた右手の血マメの影響で90球で降板したが、ほぼ完璧な投球内容。3試合で1四球しか出しておらず、1イニングあたりの与四死球+被安打数を示す「WHIP」は両リーグ最高の0・48だ。制球力に加え、昨季の経験で「(打者の)攻め方が分かるようになった」と「無駄球」の減少につながった。チームの連敗も3で止め、エリク・ウェッジ監督も「最高の仕事」と絶賛した。

 ダルビッシュは同じパ・リーグで日本球界を引っ張ってきた「戦友」。09年のWBC期間中は互いの投球論をぶつけ合った。岩隈が「真っすぐ、カーブ、スライダーだけで勝てるだろう」と水を向けると「それじゃあ面白くない」と返された。いろいろな球種を操り、打者との対戦を楽しむ姿に新鮮な驚きを感じた。その6歳下の後輩からは「命の恩人」と言われた。09年シーズン終盤に右肩と腰の違和感で戦列を離れた際、決して無理をしないように諭し、大きな故障を防いだためだ。

 先輩の意地を見せ、32歳の誕生日も自ら祝う白星。「ダルビッシュとの投げ合いで負けたくない気持ちはあった。いい投げ合いができたし、勝ちにつながってよかった」。2人はメジャーでも同地区のライバル。物語には、まだまだ続きがある。

 ≪岩隈の3勝4敗≫岩隈とダルビッシュの対戦は日米通算8試合目。日本時代は岩隈の2勝、ダルビッシュの3勝(両投手に勝敗のつかない試合が1試合)で、昨年の1試合を合わせて岩隈の3勝4敗となった。通算防御率は岩隈が1・56、ダルビッシュが1・50と、ほぼ互角。

 ≪誕生日登板は2度目≫岩隈の誕生日登板は楽天時代の11年以来2度目。11年はロッテ戦(QVCマリン)で8回1/3を1安打4失点でシーズンの初登板初勝利だった。

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2013年4月14日のニュース