8年の争いに決着…肖像権裁判で選手会側の敗訴確定

[ 2010年6月17日 06:00 ]

 菓子の選手カードやゲームソフトで使われる選手の氏名や肖像を使用する許諾権が、球団と選手のどちらにあるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は15日付で選手側の上告を退ける決定をした。「許諾権限は球団側にある」とし、選手側を敗訴とした一、二審判決が確定した。

 肖像権の使用料は、球団側が受け取って選手に一定割合を配分する形を取っている。選手側はこれに反発して、肖像権の使用許諾権限は球団にないとして所属球団を訴えていた。しかし、東京地裁、知財高裁で敗訴。選手会前会長のヤクルト・宮本慎也ら29人が最高裁まで争っていた。
 一、二審判決では、球団と選手の間で結ばれた統一契約書に「肖像権は球団に属し、球団が宣伝目的のため、いかなる方法で利用しても異議を申し立てない」との規定があることを重視し、商業利用についても「宣伝目的だ」と判断。第三小法廷は「法律上、上告や上告受理申し立ての理由がない」とだけ述べ、02年8月の訴えから8年近くにも及んだ争いは選手側の敗訴で決着した。

 ≪条文見直し「再検討する余地」も≫球団側の勝訴となった肖像権裁判だが、球団側は06年の東京地裁の一審判決で1951年作成の統一契約書(第16条)について「時代に即して再検討する余地がある」という指摘を受けている。インターネットの普及で肖像権の使用範囲が格段に広がっている現在。59年前の条文を見直すかどうかについてNPB・下田事務局長は「最高裁の判断が出たばかりで、これからの話」と慎重だった。

 ▼伊藤修氏(実行委員会選手会担当顧問)足かけ9年の長丁場でしたから。球団の当然の権利が認められた。選手側の立場に配慮してきたことも認められたと思う。
 ▼新井貴浩選手会長(阪神)古田元会長の時代から選手全員の総意で訴えてきたが、非常に残念。ただ、肖像権がスポーツ選手個人に帰属することは世界の常識。今後の対応を話し合いたい。
 ▼松原徹選手会事務局長 残念でなりません。全会員選手にかかわる問題ですので、今後の方針については会長、選手会役員と話し合って決めていきたい。

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2010年6月17日のニュース