松井秀 幻の8号…ビデオ判定で二塁打に

[ 2010年6月3日 06:00 ]

 【エンゼルス3-6ロイヤルズ】エンゼルスの松井秀喜外野手(35)がわずか数センチに泣いた。1日(日本時間2日)のロイヤルズ戦の2点を追う6回1死一塁で、右翼ポール際へ放った大飛球が本塁打かどうかをめぐってビデオ判定に持ち込まれた。日本人大リーガーがビデオ判定の対象となるのは初めてとなったが、判定は二塁打のまま覆らず、「幻の同点2ラン」となった。試合はそのまま敗れ、チームの連勝は3で止まった。

【試合結果


 二塁ベース上で、松井も思わず人さし指を立てた右手を回していた。6回1死一塁。松井の放った打球は大きな弧を描き、右翼ポール際へ。フェンスオーバーにも見えた微妙な打球は、大きくグラウンド内にはね返って中堅方向へ転々。松井は二塁へ駆け込み、スタートが遅れた一塁走者のハンターも三塁で手をグルグル。本塁打なら同点に追いつく場面だけに、ソーシア監督も猛然とベンチを飛び出して「本塁打」をアピールした。

 「感触は良かった。打球は見てましたけど、細かいところまでは分からないですからね」

 審判団の協議の結果、ビデオ判定に持ち込まれた。日本人大リーガーがビデオ判定の対象になるのは初めてだが、わずか2分後。打球は右翼フェンス最上部に当たっていたことが再確認され、判定は二塁打のまま試合続行となった。

 あと数センチ上ならば、試合を振り出しに戻す8号2ランとなっていたが、松井はビデオ判定の間も「多分、入っていないだろうなと思いました。入ってたら多分、ベンチが“入ってる、入ってる”とか言いますから」と冷静だった。ただ、ソーシア監督だけは「惜しかった。不幸な一打だった」とうなだれた。

 幻のホームランにチームは意気消沈したのか、その後はゲームセットまで11打者が連続凡退。勝率5割目前でチームの連勝は止まり、松井も「う~ん、仕方ないですね。(スタンドに)いかなかったんだから」と振り返るしかなかった。

 もっとも、松井は2回にも右翼線へ二塁打。1試合2長打は4月18日のブルージェイズ戦以来となり、「二塁打は2本とも良かった。どちらもカットボールだけど体勢を崩されず、強く打てた」。5月はメジャー月間打率自己ワーストの・184に終わったが、6月最初の試合で好発進。あと数センチで本塁打と月が替わってツキまでは呼び込めなかったが、松井のバットには6月反攻の予感が漂っている。

 ≪メジャーのビデオ判定は08年8月から≫大リーグでの本塁打のビデオ判定は、2007年11月のGM会議で導入が可決され、翌08年8月28日から実施された。初適用となったのは同年9月3日のトロピカーナ・フィールドで行われたレイズ―ヤンキース戦。ヤ軍の4番ロドリゲスが放った左翼ポール際への打球を三塁塁審が本塁打とコールしたが、レ軍の抗議もあって責任審判の二塁塁審がビデオ判定を要求。結局判定は覆らず、そのまま本塁打となった。同戦に7番・DHで出場していた松井は「覆らなかったから良かった」と話した。日本では今季からセ・パ両リーグで導入され、これまで9件がビデオ判定に持ち込まれている。

続きを表示

2010年6月3日のニュース