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【スポニチ×スポキャリインタビューvol.18】清水直行さん(元千葉ロッテ、DeNA)

[ 2022年2月19日 03:00 ]

清水直行氏
Photo By スポニチ

 学生のこと、就活のこと――元プロ野球選手にきいてみた。

 清水直行さん(元千葉ロッテマリーンズ・前琉球ブルーオーシャンズ監督)
 
 就活は大学卒業時の通過点だけじゃない。就活は人生のチャレンジだ。

 千葉ロッテ・マリーンズでエースとして活躍した清水直行さんは「自分もまだ就活中です」と、46歳となった今も新たなビジネス・パートナーを求めて、行動している。

 「いろんな人に会って、いろんなところで自分を、PRしています。自分にはこんなことが出来ます、ということを伝えながら、互いのニーズが合う相手を探している。何でも出来ますばかりじゃなく、何が出来ないかもしっかり伝えることが必要。一方通行にならないことを心がけている」

 まさに就活そのものだ。清水さんは報徳学園から日大を経て、社会人・東芝府中でプレー。1999年のドラフトで、逆指名で千葉ロッテに入団。本格派右腕としてローテーションを支えるとともに、野球の日本代表「侍ジャパン」でも活躍した。

 2004年のアテネ五輪では銅メダルを獲得、2006年の第1回WBC(ワールド・ベースボールクラシック)の優勝メンバーと輝かしい球歴を持っている。

 DeNAを経て、2014年に現役を引退。294試合登板、105勝100敗、通算防御率4・16の成績を残した。引退後も従来の枠には収まらない活動で注目されている。

 「恩返しの意味で野球を広めたい」とニュージーランドで野球連盟のGM補佐、代表チームの監督を務めたり、2019年には沖縄初のプロ野球「琉球ブルーオーシャンズ」の初代監督にも就任した。

 野球に対する熱い思いをしっかり伝えてきたからこそ、理解してくれる人に恵まれているのだ。チャレンジは続いている。
 
 
 [聞き手]岡 泰秀(株)スポキャリ取締役会長。
 昭和50年(1975年)生まれ。京都成章高-大阪体育大。
 99年4月(株)大阪近鉄バファローズに入社。監督付き広報、2軍チームマネジャーほか、球団社長室に所属し、肖像権委員会、広報業務などに携わる。
 近鉄球団の整理を担当しながら、オリックスバファローズや東北楽天イーグルスの設立に携わり退社。
 09年にスポーツマネジメント会社「スポーツカンパニー」設立。上原浩治(元巨人)、建山義紀(元日本ハム)らの日本側の代理人を務め、清水直行(元ロッテ)らの事業コンサルを務めた。
 04年よりプロスポーツ昭和50年会を立ち上げ、幹事長を務める。05年より大阪体育大学硬式野球部の助監督を務めた(~17年)。16年からは阪神大学野球連盟の常任理事。

 
 ――スポキャリでもセミナーの講師をされていますが、学生に対して感じたことは。

 「ちょっと、みんな下を向いてるんじゃないかという気がした。野球をこれまでやってきたけど、選手として次のステージに行けずに就職する。そのことを挫折と思っているんじゃないか。それではいけない。ネガティブな気持ちで就活に臨んでほしくない。野球でも他のスポーツでも4年間やりきったことを自信にして、第2の人生に向かっていってほしい。そう思いましたね」
 
 ――やりきったことをマイナスにしてはいけないということですね。

 「その通り。プロ野球選手になることが夢だったかもしれない。でも全員がプロになれるわけじゃない。この4年間がムダだったということでもない。4年間やりきって、いろんな経験をした。そのことは凄いことだし、自分たちの武器だ。下向きにならずに、目線を上げて、これからのことに挑戦してほしいんです」
 
 ――スポーツの経験は社会人としても生きるはず。

 「みんな一生懸命練習して、レギュラーになったり、逆に取られたり、ケガをしたり、リハビリに取り組んだり、いろんな経験をしたことは人生の財産。試練が与えられても、モチベーションを上げて取り組んできたと思う。社会に出れば、もっと厳しい。うまくいかないことの方が多い。状況を判断して、決断して、次の行動をする。スポーツでその能力を鍛えてきたはず。それは自信をもっていいことです。」
 
 ――就活もうまくいかないことが多い。

 「そうでしょうね。社会に出たら、壁にぶつかる。内定がなかなかもらえず、人格を否定されたように就活で感じることもあるかもしれない。そこで止まったり、メゲたりしてたら、4年間の財産をそれこそ生かせない。採用されるかどうかは、ご縁だと思う。きっと必要とされるところがある。柔軟に考えて進むことが大事だと思います」
 
 ――人生で夢を叶えるために必要なことは。

 「自分の思いを語っていくことですね。これからの人生で多くの出会いがあるはず。やりたいこと、叶えたいことは、会う人たちに伝えた方がいい。そうすれば、理解してくれる人が集まる。10年、20年かかるかもしれないけど、それを続けることで、最初は好きじゃなかった仕事でも人生の一部になってくる。自分で選択できる人生にしてほしい。」


 ◆就活のためのキーワード
 (1)就活は新たな人生へのチャレンジだ。これまで部活動で取り組んできた経験は、人生の大切な財産になる。ネガティブにならず、下を向くことなく、次のステップを切り開こうとする気持ちが大事だ。

 (2)就活ではうまく行かないことが多いかもしれない。でも社会に出れば、うまく行かないことばかり。壁を乗り越えるためにも、スポーツで経験した競争や失敗が君たちの武器になる。4年間やりきったことを自信にしてほしい。

 (3)内定が取れなくても、メゲるな。存在を否定されたわけじゃない。縁がなかっただけのこと。君を必要としてくれるところは必ずある。柔軟に考えて、前に進もう。

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