安青錦 横綱・豊昇龍討ちで初優勝「自分の選んだ道が間違ってなかった」ウクライナ出身初の大関誕生へ

[ 2025年11月24日 04:45 ]

大相撲九州場所 千秋楽 ( 2025年11月23日    福岡国際センター )

優勝決定戦で豊昇龍(左)を破る安青錦(撮影・岡田 丈靖)
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 新関脇・安青錦(21=安治川)が横綱・豊昇龍(26=立浪)との優勝決定戦を制し、12勝3敗で初優勝した。ウクライナ出身力士初の制覇で場所後の大関昇進も確実となった。年6場所制で初土俵から所要14場所は史上1位のスピード昇進となる。本割では大関・琴桜(28=佐渡ケ嶽)を内無双、優勝決定戦では豊昇龍を送り投げで破った。日本相撲協会審判部は昇進を諮る臨時理事会の開催を要請し、受諾された。26日にもウクライナ出身初の大関誕生となる。

 花道を下がる安青錦が目元を拭う。付け人と胸を合わせて抱き合った。本割で琴桜を内無双で、優勝決定戦は豊昇龍を送り投げで土俵にはわせた。大関、横綱を連破して抱いた賜杯に熱いものがこみ上げる。「自分の選んだ道が間違ってなかった」。母国の戦禍を逃れ、相撲を続けるために日本に来た21歳が感慨に浸った。

 ウクライナで相撲に出合い、ロシアの侵攻を受けて22年4月にキャリーケース一つで来日した。関大の練習生として下積み生活を送り、日本語学校にも通った。角界入りへの道が開けたのが22年12月。過去の名力士の映像を見て技を磨く努力家。記録的なスピードで番付を上がり、新関脇場所で優勝し、大関昇進をつかむのは1936年夏場所の双葉山以来となった。

 体重140キロは幕内平均の158・2キロより20キロ近く軽い。愚直なまでに「前傾姿勢」を崩さず前に出る相撲を磨いてきた。同じ伊勢ケ浜一門の浅香山親方(元大関・魁皇)は「あの低さで出られると相手は引くか投げるかしかなくなる」とうなる。重さや速さに加え「低さ」を武器にした。顕著なのが豊昇龍戦。14日目に続き、この日の決定戦でも圧倒して4連勝。どちらが横綱か分からない内容だった。

 初土俵から所要14場所で大関に昇進すれば年6場所制となった1958年以降初土俵(付け出しは除く)で最速記録となる。安青錦は「うれしいけど、まだもう1つ上の番付がある。そこを目指したい」とさらに「上」を見据える。八角理事長(元横綱・北勝海)は低い姿勢を保つ取り口を「天性のもの。背筋の強さがないとできない。体が小さいのに跳んだりはねたりしないのがいい」と称賛した。

 26日にもウクライナ出身初の新大関が誕生する。安青錦は信念を持ち、自ら切り開いた相撲人生を歩み続ける。

 《記録アラカルト》
 ☆所要 初土俵から14場所での昇進は年6場所制度では琴欧州の19場所を大きく更新する史上1位のスピード昇進。

 ☆年齢 21歳8カ月は年6場所で貴乃花、北の湖、白鵬に次ぐ4位の若年昇進。

 ☆負け越しなし 新入幕から負け越しなしでの昇進は昨年秋場所の大の里以来。序ノ口デビューから負け越しなしで昇進は武蔵山、羽黒山に次いで3人目(年6場所制では初)。

 ☆新関脇1場所での昇進 1940年夏場所後の五ツ島以来11人目。新関脇場所で優勝して昇進は1936年夏場所後の双葉山以来89年ぶり。

 ☆ウクライナ 初の大関。欧州出身では琴欧州、把瑠都、栃ノ心に次いで4人目。

 ☆伊勢ケ浜一門 21年夏場所の照ノ富士(2度目昇進)以来。

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