新入幕・草野の大活躍は「想定内」学生出身力士が角界を席巻する理由とは…日大相撲部の指導者が解説

[ 2025年7月29日 07:26 ]

義ノ富士(元・草野)
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 平幕・琴勝峰(25=佐渡ケ嶽部屋)の初優勝で幕を閉じた大相撲名古屋場所。新入幕の草野(24=伊勢ケ浜部屋)は千秋楽まで優勝を争う大活躍で11勝を挙げ、敢闘賞と技能賞を獲得した。

 元学生横綱の草野は、幕下最下位格付け出しで昨年夏場所初土俵を踏んでからまだ8場所目。優勝していれば、大の里の所要7場所に次ぐ史上2位のスピード記録だった。また、新入幕優勝なら1914年夏場所の両国、昨年春場所の尊富士に続く史上3人目の快挙だった。記録ずくめの新入幕優勝こそ果たせなかったが、新十両だった今年春場所には、大の里も尊富士も成し遂げられなかった新十両初日から12連勝という新記録を樹立している。今場所からまげが結えるようになったばかりの24歳は、大銀杏を結うまでにどこまで番付を上げていくのか注目される。

 1999年生まれの尊富士(鳥取城北高―日大)、2000年生まれの大の里(新潟・海洋高―日体大)、2001年生まれの草野(熊本・文徳高―日大)は、それぞれ1学年違いでアマチュア時代から全国トップレベルでしのぎを削ってきた間柄。わずか数年前まで学生相撲界で活躍していた選手たちが、現在は大相撲の最高峰の舞台で熱戦を繰り広げている。草野や尊富士らを育てた日大相撲部の木崎孝之助監督は「最近は学生出身が(幕内上位に)多いから“自分もいけるんじゃないか”という気持ちになっているのでは」と分析した。かつてのライバルたちが幕内で結果を出すことで、互いに刺激を受けて相乗効果で高め合っている。

 草野は大学1年時から5人制団体戦のレギュラーに入り、大きなケガをすることなく4年間を通して活躍してきた。木崎監督は「1年からポイントゲッターでした。2年のインカレでは個人戦準々決勝で中村君(現横綱・大の里)にも勝っています」と述懐。稽古場では、尊富士や今年初場所優勝決定戦に進出した金峰山(28=木瀬部屋)ら先輩たちと互角に渡り合うこともあったという。「それなら草野だって通用するのでは」。現在の活躍はそれほど驚くことではなく、想定の範囲内だった。

 「大学相撲は強いですよ。石岡(尊富士)の記録をもっと塗り替える子が出てくるかもしれない。草野もそれぐらいの力はあると思う」。尊富士が110年ぶりの新入幕優勝を果たした昨年3月、日大相撲部の石前辰徳コーチはこう語っていた。当時まだ草野は入門前の大学生。多くの関取を育ててきた恩師たちの目には、わずか1~2年後に幕内で活躍する教え子たちの姿が見えていたようだ。

 今場所の幕内42人中、横綱を始めとする学生相撲出身力士が20人と約半数を占めている。多くの学生横綱が幕下や十両で苦戦したことで「学生出身は大成しない」と言われていた時期もあったが、それは現在には当てはまらない旧説。初優勝や大関昇進、横綱昇進などのスピード記録がここ数年で次々に塗り替えられており、学生相撲のレベルがここ数年で格段に上がっているのは明白だ。名古屋場所千秋楽と同じ7月27日、東京・靖国神社では東日本学生相撲個人体重別選手権大会が、大阪・堺市大浜公園では西日本学生相撲個人体重別選手権大会がそれぞれ開催されていた。数年後、この中から角界を背負う力士が何人出てくるのか。今のうちに学生相撲を見ておけば、近い将来の角界の勢力図が見えてくるかもしれない。

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