レスリング・樋口 妻と二人三脚でつかんだ金メダル「減量が始まると、私がガッツリ太っていく」

[ 2024年8月11日 03:00 ]

パリ五輪第15日 レスリング ( 2024年8月9日    シャンドマルス・アリーナ )

<パリ五輪 レスリング>男子57キロ級決勝、樋口黎が金メダルを獲得し、歓喜する樋口の妻・優貴さん(撮影・平嶋 理子)
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 歴史的な数字を刻んだ。男子フリースタイル57キロ級決勝が9日に行われ、樋口黎(28=ミキハウス)がスペンサーリチャード・リー(米国)を4―2で破り、2大会ぶりの出場で悲願の金メダルを獲得した。夏季冬季を合わせた日本の金メダルは節目の200個に到達。銀メダルだった16年リオデジャネイロ五輪に続く表彰台で、男子フリーの最軽量級制覇は36年ぶりだ。失意の東京五輪落選を経て、ようやく頂点に立った。

 須崎優衣らを輩出した東京・安部学院高時代にインターハイや全日本女子オープンなどを制した元選手の妻・優貴さん(旧姓田辺)は、2月に誕生した長女・凪ちゃんを日本に残してパリまで駆け付け、歓喜を共有した。

 家事は分担制で、食事作りは樋口の担当だ。日体大同期の文田が妻・有美さんに全権を任せているのとは対照的で、優貴さんは「カロリー計算も含めて、全て自己管理している」と感心する。減量期に入ると食卓に上がるのは「ひたすら鶏肉」。もも肉の皮を剥ぎ、しょう油や黒酢、ねぎ塩など毎日食べても飽きないように工夫を凝らす。そして鶏皮は全て優貴さんが消費。せんべいにするなど調理バリエーションは増えたが「減量が始まると、私がガッツリ太っていくような感じ」と笑う。

 家庭内でレスリングの話は一切しない。「私なんかが理解できるレベルではないので。たまに話しても次元が違うなと感じる」というが、心身共にリラックスできる環境づくりを心がけた。「減量中もゲームさえできればピリつくことはない」と話す夫に、「子供が泣いていたり、おむつを替えてほしい時に“ちょっと待ってね”と言うけど、それがちょっとじゃない」と苦笑いするが、ストレスのない家庭環境をつくってサポートしてきた。

 五輪後は、まだ行けていない新婚旅行を計画している。行き先は樋口が「ムーミンが好き」という理由でフィンランドを希望。優しい妻は、かなえてあげるつもりでいる。

【樋口黎はこんな選手】
 ☆生年月日 1996年(平8)1月28日生まれ、大阪府出身の28歳。茨城・霞ケ浦高、日体大卒。日体大助手を経て21年からミキハウス所属。家族は元選手の妻・優貴さんと今年2月に生まれた長女・凪(なぎ)ちゃん。
 ☆競技歴 吹田市民レスリング教室で4歳から開始。高校時代はインターハイ2連覇、国体2連覇を達成し、15年に全日本選手権を初制覇。16年リオデジャネイロ五輪は銀メダル。21年東京五輪はアジア予選で計量失格。その後、世界最終予選で出場枠を獲得したものの、国内プレーオフで敗れ2大会連続出場を逃した。22年世界選手権では非五輪階級の61キロ級で初の世界一。
 ☆マカロン王子 中学生の時、地元のスターバックスで出合い、以後は大好物に。当時は極度の野菜嫌いの偏食で、活躍とともに「マカロン王子」の愛称が定着。本場・フランスのマカロンを食べることを楽しみにしている。

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