セーヌ川水質問題 最後まで懸念払拭できず ドイツ3選手が体調不良で病院へ「昨日9回吐いて下痢も」

[ 2024年8月11日 22:38 ]

セーヌ川を泳ぎ進むオープンウオーターの選手たち(AP)
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 ドイツオリンピック委員会は11日、セーヌ川で行われたパリ五輪マラソンスイミングに出場した3選手が体調不良に陥ったと発表した。

 「ドイツのオープンウオーター選手2人が吐き気、嘔吐、下痢のため外来治療を受けた。今朝から体調はずっと良くなっている」と声明を発表。「同じような症状の別選手が現在、ドイツのチームドクターの治療を受けている」と付け加えた。

 同委員会は3選手の名前を明かしていないが、8日の女子10キロに出場し、9位だったレオニー・ベックは自身のインスタグラムを更新。「昨日9回吐いて、下痢もした」と明かしたが、「セーヌ川の水質は合格」と皮肉たっぷりにつづった。親指を立てて無事をアピールする写真も投稿したが、明らかに顔色は悪かった。

 生活排水が流れ込み、細菌が混じった水のため、セーヌ川では1923年から遊泳が禁止となっていたが、パリ市は五輪へ向けて約14億ユーロ(約2200億円)を投入して水質改善に取り組んだ。それでも、開会式当日の7月26日から降った雨で水質が悪化。練習中止は合計5日間に及んだ。トライアスロン男子のレースも1日延期され、各種目のレース後には各国に体調不良選手が続出。トライアスロンのレース後には、カナダの男子選手が10回、嘔吐したことを明かしていた。

 セーヌ川の水質が改善されない場合、パリ五輪組織委員会ではボート、カヌーの会場に移して競技を行う代替案を用意していた。しかし、検査では大腸菌や他の細菌のレベルが基準値を下回り、Bプランが実行されることはなかった。

 3選手とセーヌ川の水質の因果関係は分かっておらず、マラソンスイミングに出場した男女計53選手の大半は、水質に問題はなかったと話している。パリ五輪組織委員会は「選手の病気の報告は聞いており、早期回復をお祈りしている」と声明を発表したが、最後まで水質に対する懸念は払しょくできずに大会は閉幕の日を迎えた。

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