宇野昌磨 連覇&6度目Vへ唯一100点台発進 「皆さんの目標となれるように優勝を目指したい」

[ 2023年12月22日 04:45 ]

フィギュアスケート全日本選手権第1日 ( 2023年12月21日    長野市ビッグハット )

<フィギュア全日本選手権第1日>男子SP、演技をする宇野昌磨(撮影・小海途 良幹)
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 開幕し、男子ショートプログラム(SP)では2年連続6度目の優勝を狙う宇野昌磨(26=トヨタ自動車)が104.69点で首位発進した。今季はモチベーション維持に苦慮しながらも、世界選手権2連覇中の王者として若手の手本となる自らの立場を自覚。2位の山本草太(23=中京大)と10.11点もの差をつける貫禄の演技でスタートダッシュを切った。きょう22日は女子SPが行われる。

 演技後、宇野に満足感はない。それでも断然トップに立っている事実が、現役の世界王者の強さを示していた。「あまり良い状態でなくても、今やるべきこと、やれることをどのようにやるかを模索した」と涼しい顔で振り返った。

 貫禄の演技だった。冒頭の大技4回転フリップを決める。4回転―3回転の連続トーループは後半を2回転にしたコンビネーションで大崩れを防ぎ、スピン、ステップでは当たり前のように最高のレベル4でそろえた。プログラム全体を通してスピードを出し過ぎないように制御。「6分間練習から調子が良くなかった」からこその微調整も抜群で「長年のキャリアかなと思います」と胸を張った。

 王者の自覚を新たにした。今季のテーマは「自己満足」。平昌、北京と五輪2大会連続メダルを獲得し、世界選手権2連覇を達成した。ステファン・ランビエル・コーチのように誰もが感動するような表現力を目指す一方で達成感から競技に対するモチベーションはしぼんだ。

 2週間前のGPファイナルが宇野を変えた。米国の19歳イリア・マリニンが現行で最高難度の4回転半などを次々と決め、2連覇を阻まれた。「追いかける立場になったつもりはない」と本能を揺さぶられた。楽しさを感じないと言うジャンプ練習の比重を高めた。「自分が目指したいものからかけ離れてしまう」と自身の哲学が揺らいだが、「競技者として戦いたいと思った以上、ジャンプは必要」と勝負に徹して得点につなげた。

 気がつけば26歳。「五輪よりも緊張する」という全日本の舞台も13年連続出場となった。ベテランを自覚する今、若手の壁になることが日本スケート界の未来につながると信じる。フリーはあす23日。宇野は「僕の立場を全うしたいと思います。皆さんの目標となれるように優勝を目指したい」と言った。誰もが憧れる日本一の称号は簡単には明け渡さない。


 ▽フィギュアスケートの世界選手権代表選考 各3枠の男女は全日本選手権優勝者が自動的に決まる。2人目は全日本の2、3位やGPファイナル上位2人(男子は宇野と鍵山、女子は坂本と吉田)、全日本終了時で国際スケート連盟公認のシーズン最高得点の上位3人から選考。3人目は世界ランキングなども加味して選出する。全日本出場は必須だが、ケガで欠場のペア三浦、木原組は昨季世界選手権優勝の実績で選考対象となる。

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