丸山希 W杯2度目の表彰台「たぶん生まれて初めて」ヒルサイズ越え2本で3位 11位沙羅の祈りも届いた

[ 2023年2月11日 18:21 ]

ノルディックスキーW杯ジャンプ女子個人第19戦 ( 2023年2月11日    オーストリア・ヒンツェンバッハ )

W杯ジャンプ女子個人第19戦で3位となり、表彰式で笑顔を見せる丸山希=ヒンツェンバッハ(共同)
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 1本目に91.5メートルを飛び3位につけた丸山希(24=北野建設)が僅差の勝負となった上位争いで3位を守り、合計234.8点でW杯通算2度目の表彰台となった。高梨沙羅(26=クラレ)は1本目に87.5メートルを飛び8位で迎えた2本目で85メートルと距離を伸ばせず11位。5日の第17戦を制した伊藤有希(28=土屋ホーム)は15位、宮嶋林湖(19=松本大)が18位、勢藤優花(25=ヤマチューン)は19位だった。キアラ・クロイツァー(オーストリア)が89メートル、88.5メートルの235.6点で3季ぶりの通算7勝目を挙げた。

 気まぐれな風の影響でスタートゲートが何度も変更され、各選手が飛距離を伸ばせない難しい設定の中、5選手が2本目に進んだ。その中で第17戦でW杯初表彰台となる2位だった丸山がうれしい2度目の表彰台で笑顔を見せた。高梨は2本目で飛距離を伸ばせず、着地でもバランスを崩し11位に終わったが、優勝の、そして2週連続となる表彰台の可能性が残る丸山を最後まで祈るように応援していた。

 丸山は多くの選手がジャンプ後に肩を落とす中、2本目も90.5メートルの会心のジャンプを見せ、着地後にはガッツポーズも見せた。2本ともヒルサイズを越える最長不倒。その後、高梨と伊藤とともに残り2選手の結果を祈るように見守った。僅差の勝負となった3位争いを制し「2本ともヒルサイズを越えたのはたぶん生まれて初めて。とてもいい日になったし、次につながる経験になった。シーズン始めに比べたら、だいぶ(スキー板の)いいところに乗れている」語った。表彰式ではシャンパンをうまく開けられない場面もあったが、2週連続の表彰台で笑顔がはじけた。

 18年からW杯に参戦している丸山のシーズン前までの最高順位は4位。5日の第17戦で初めて伊藤、高梨とともに表彰台に立ち「ずっと憧れていた先輩と一緒に表彰台に立てて、うれしい気持ちでいっぱい」と語っていた丸山。昨シーズンは21年10月の全日本選手権ラージヒルで転倒して左膝前十字じん帯損傷の重傷を負い、大きな目標だった北京五輪出場も逃した。苦難を乗り越えたどり着いた表彰台に立ち「ケガをした時からいろんな人にサポートしてもらったおかげで、最高の景色が見られた」と喜びと感謝の言葉を語っていた。

 一方の高梨は今季は昨年11月の開幕2連戦で6位、5位とまずまずのスタートも、9度も2桁着順に沈むなど不振が続いた。北京五輪でのスーツ規定違反をきっかけに一時は引退も検討。シーズンへの始動が遅れた影響で、マテリアル(道具)やスーツの規定変更への対応も遅れたが「頭で考えていることと、体やテクニック的なものをうまくリンクできた」と4日にドイツ・ビリンゲンで行われた第16戦で2本の大ジャンプをそろえ今季初の表彰台となる3位に入った。

 そして続く同地で行われた5日の第17戦では、伊藤が6年ぶり6度目となる優勝。2位には2本目に優勝した伊藤を超える136.5メートルを飛んだ丸山が入り、高梨は2戦連続となる3位に入り、日本女子史上初となる表彰台独占の快挙を成し遂げた。10日にオーストリアで行われた第18戦は高梨が日本勢最上位の8位だった。

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