元千代大龍の明月院氏が引退からわずか2カ月で焼き肉店開業 セカンドキャリアも“電車道”

[ 2023年2月7日 19:44 ]

元小結・千代大龍の明月院秀政氏が1月に開業した東京・六本木の焼き肉店「みいとらんど」
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 昨年の大相撲九州場所中に引退した元小結・千代大龍の明月院秀政氏(34)が7日、東京・六本木で自身が経営する焼き肉店「みいとらんど」を報道陣に公開した。

 まだ断髪は済んでおらず「15キロぐらい落ちた」という体重も170キロあり、見た目は現役力士そのもの。現在はその巨体を揺らして焼き肉店の店主として接客にいそしんでいる。フランス料理と焼き肉を掛け合わせた「フレンチ焼き肉」がコンセプトで、1月16日にオープン。パリのミシュラン一つ星レストランでシェフを務めた経験のある中村聡司料理長(35)と2人で切り盛りしている。

 メニューは、フランス料理5~6品と焼き肉3~4種類にデザート付きというコースのみで値段は15000円。パンの上にランプ(牛肉の部位)が乗った「ランプ on the トースト」や、八丁みそをつけた赤身肉と大葉をクレープで巻いて食べる「肉レープ」など、おしゃれな創作料理が並ぶ。「国産の黒毛和牛のいいところを使っている。冷凍は絶対にしない」と食材にはこだわっている。既に横綱・照ノ富士(31)や十両・照強(28)ら伊勢ケ浜部屋の関取衆も来店しており高評価をもらっているという。

 現役引退からわずか2カ月という異例の早さ。かつて得意としていた突き押し相撲のような“電車道”の開業だ。「相撲界はセカンドキャリアが一番大事。次のプランを考えてから辞めないと路頭に迷う。ケガしたら終わりだから(日体大時代に)教員免許も取ったし、セカンドキャリアは入門前から考えていた」。もともと焼き肉店が入っていた居抜き物件を探し、価格相場をリサーチするなどの準備は引退する前から着々と進めていた。そして「引退した力士をここで雇って一人前に育てて、(その力士が)地元帰ってからフランチャイズで出せたら。僕の店がどんどん広がってくれたらと思っています」と、自身の事業展開と今後引退する力士のキャリアサポートにも目を向けた。

 当店は完全予約制で“一見さんお断り”の紹介制。行ってみたいというファンの要望に応え、3月までは店のインスタグラムのフォロワーも予約できるようになった。今後は、よりリーズナブルな大衆向けの焼き肉店も作る予定という。また、飲食以外の業種も含めて幅広く事業を拡大していく方針も示した。店名の「みいとらんど」には「展開していくのに使いやすい」という意味も込められている。今後は新たな「○○らんど」が誕生するかもしれない。

 この日、明月院氏はジャージー姿で皿を運んだり料理の説明をしたりと接客していた。普段はYシャツや反物で仕立てた甚平が仕事着。「電車の中に仕事着が入ったバッグを忘れてしまった。TOM FORDの35万円ぐらいするバッグなのに…」。思わぬハプニングに焦りながらも明るく笑い飛ばす姿は現役時代と変わらず。慣れない仕事も多い中「やりがいありますね。楽しい」と前向きに話し、早くも第二の人生を“電車道”で突き進んでいた。

 ◇明月院 秀政(めいげついん・ひでまさ)1988年(昭63)11月14日生まれ、東京都荒川区出身の34歳。小6から葛飾白鳥相撲教室で相撲を始め、大道中、足立新田高を経て日体大に進学。4年時に全国学生選手権で優勝し学生横綱を獲得。九重部屋に入門し、11年技量審査場所で幕下15枚目格付け出しデビュー。12年初場所で新十両に昇進し「千代大龍」に改名。12年夏場所で新入幕。14年秋場所で新小結。金星3個。幕内在位は58場所。22年九州場所中に現役を引退。

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