スケボー界の新星12歳・小野寺吟雲 インスタから世界へ「全決め」で史上最年少表彰台

[ 2023年2月7日 04:39 ]

スケートボード・ストリート 世界選手権最終日 ( 2023年2月5日    UAE・シャルジャ )

スケートボード・ストリートの世界選手権で銅メダルを獲得した小野寺吟雲(AP)
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 24年パリ五輪の予選対象大会第2戦を兼ねて行われ、男子は中学1年生の小野寺吟雲(ぎんう、12)が263.04点で銅メダルを獲得した。12歳での表彰台は、ストリート種目では史上最年少の快挙。既に世界のスケートボード界では「GINWOO」として知られていた規格外のスケボースターが、再びその名をとどろかせてパリ五輪のメダル候補に名乗りを上げた。女子では東京五輪覇者の西矢椛(もみじ、15)が、253.30点で銅メダルを獲得した。

 背丈が一回りも二回りも大きなライバルを相手に、身長1メートル46の小野寺が大仕事をやってのけた。初の舞台にも全く物おじすることなく、銅メダルを獲得。まだ声変わりも来ていない甲高い声で「全決めできるように頑張るという気持ちで臨んだ。全部決めて3位になれてうれしかった」と素直に喜んだ。

 準決勝は圧巻の1位通過。金メダルの期待が高まったが、そうは甘くなかった。45秒間にコースを自由に使いトリックを決めるランの1本目は、15秒過ぎに転倒して得点を伸ばせず。ラン2本のうちのベストスコアが必ず採用される現行ルールで後のない状況に追い込まれたが、2本目はフルメークして87.00点。ベストトリックでも80点台後半を連発する技術と精神力で、表彰台に食い込んだ。

 レールに乗る前だけではなく、下りる際も板を回すオリジナルトリック同様に、誰とも違うキャリアを積んできた。7歳で本格的にスケートボードを始めると、トリックの映像をインスタグラムなどSNSに投稿して世界へ発信。それが海外の関係者の目に留まり、8歳から主に国際大会の招待を受けて活躍してきた。世界的デッキブランド「JART」とも8歳で契約。契約ライダー6人で、小野寺の次に若いのは21歳。圧倒的な才能と将来性は、早くから世界で認められてきた。

 昨年は海外遠征中に2度骨折。小さなケガや脳振とうも絶えず、決勝前には転倒して膝小僧に痛々しい生傷を負ったまま、卓越したパフォーマンスを発揮した。原動力は、ただただ好きだから。将来の目標は「格好良くて、うまくて、優しいスケボースター」になることだったが、この日は同じ質問に「宇宙に行ってスケボーができるように頑張りたい」と言ってのけた。パリ五輪期待の星は、はるかに大きなスケールの夢を抱いている。

 ▼日本代表早川大輔コーチ 小野寺はトリックの難度と完成度が抜群に良かった。彼しかできないトリックだった。西矢は(苦戦した準々決勝から)切り替えができた。凄く成長した。

 ▽日本の五輪年少メダリスト 最年少は21年東京五輪のスケートボード・パーク女子で銀メダルを獲得した開心那(ひらき・ここな)の12歳343日。2位も同ストリート女子で金メダルを獲得した西矢の13歳330日で、スケボー勢がワンツーを占める。男子の最年少は32年ロサンゼルス五輪競泳1500メートル自由形で金メダリストとなった北村久寿雄の14歳309日。パリ五輪のストリート男子は7月27日に実施予定で、14歳163日になっている小野寺がメダルを獲得すれば、男子の最年少記録を更新する。

 ▽スケートボード・ストリートのパリ五輪への道 出場枠は男女各22人(東京五輪は20人)で、1カ国・地域当たりの最大枠は3。予選期間は22年6月22日~24年6月23日で、この期間の世界選手権や五輪予選大会シリーズ、対象のプロツアーや各種大会で与えられるポイントに基づいた五輪ランキングの上位者が出場権を得る。

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