【玉ノ井親方　視点】重心低く保ちながら貴景勝に圧力　良い時の琴ノ若が出た

大相撲初場所11日目   ○琴ノ若（押し倒し）貴景勝● （ 2023年1月18日    両国国技館 ）

＜大相撲初場所11日目＞押し倒しで貴景勝を破る琴ノ若（右）（撮影・西海健太郎）
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　気迫の勝利だ。新三役の琴ノ若が、3連敗中だった埼玉栄高の先輩に力強い相撲で勝った。

　琴ノ若は上背があって体が柔らかく懐が深いため、突き押しの力士からすると力を吸収されるようでやりづらいタイプ。ただ足が長い分、腰高になりがちなのが欠点だった。前に出ている時はその短所も目立たないが、引いてしまうと途端にバランスが悪くなる。

　大関戦では良い時の琴ノ若が出た。貴景勝の突きを下から跳ね上げ、重心を低く保ちながら前に出た。この日のように強い気持ちで前に出る相撲を取り続ければ、相撲内容はもっと安定するだろう。

　一方の貴景勝は立ち合いで足がそって、しっかり当たり切れなかったのが敗因だろう。今場所は相手を常に正面に置いて、よく見て取ろうと意識しすぎている。その分、足が十分に前に出ていかない。相手を見て取るのも悪くはないが、足を前に出さなければ苦戦は免れない。（元大関・栃東）