高梨沙羅に“2時間の壁”予選後検査はOKも ノルディックスキーW杯ジャンプ女子個人第13戦

[ 2023年1月15日 19:50 ]

ノルディックスキーW杯ジャンプ女子個人第13戦   ヒルサイズ=HS102メートル ( 2023年1月15日    山形・アリオンテック蔵王シャンツェ )

高梨沙羅
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 3季ぶりとなった国内開催のW杯最終戦で表彰台を狙った高梨沙羅(26=クラレ)は、2本目の後に行われた検査でスーツ規定違反による失格処分となり、30位に終わった。冬季シーズンに同規定による失格処分を受けるのは、昨年2月の北京五輪の混合団体戦以来。復調気配を見せていた日本女子のエースが、再び悪夢に襲われた。

 たった2時間で、こうも体のサイズに変化が生まれるものなのか。午後2時45分にスタートした予選でもランダムの検査を受けた高梨だが、この時は違反なし。だが午後4時に始まった決勝の2本目、1本目と同じ95メートルを飛ぶと、再び検査室に呼ばれた。約10分後、淡々とした表情で出てきた高梨だが、その直後に国際スキー連盟(FIS)のサイトにはDNQの文字が。その後、公式にスーツ規定違反による失格であることが発表された。

 失意に暮れて取材には応じなかった高梨に代わり、女子日本代表の横川朝治ヘッドコーチ(HC)は「ウエストが2センチくらい大きかった」と説明した。だが予選後の検査でOKだったものが、たった2時間後にはNGになることなど、本当にあり得るのか。同氏は「体は軽くないと飛ばないスポーツ。選手もギリギリまで絞っている」とした上で、「ちょっと神経をすり減らしているので、体も小さくなっているかも知れない」と指摘した。

 今大会は昨年12月初旬の第3戦から続いた連戦の最終戦で、40日以上も試合と移動が続いた選手は疲労困憊(こんぱい)の状態だった。そうした中で体はやせ細るが、スーツ自体は連戦開始当初から同じものを使用。横川HCも「もう限界ギリギリに来ているという感じはある」と話す。

 対策の一環として、高梨を含む多くの選手はスタート待機所に水を持参。水分を取って体のサイズを微調整しているが、体の変化に対応しきれなかった可能性がある。この日の試合で失格処分を受けたのは、高梨ただ一人というのもまた事実。横川HCは「(検査に)引っ張られるのは仕方ないことだが、そのたびに失格になっていたら話にならない」と厳しい表情だった。

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2023年1月15日のニュース