32年関取なしの福井県 長身スラッガーが放駒部屋からデビューへ 名古屋商大野球部出身の鳥山優太郎

[ 2022年10月14日 04:10 ]

大学野球出身の異色の経歴を持つ鳥山優太郎
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 OBに元プロ野球中日の平野謙、音重鎮、大豊泰昭らがいる名古屋商大野球部出身の鳥山優太郎(19)が大相撲放駒部屋の力士としてデビューすることになった。1メートル92の長身スラッガー。18日の大相撲九州場所新弟子検査に臨む。

 野球出身は横綱・稀勢の里(現二所ノ関親方)らがいるものの、大学野球からの転身は、元甲子園球児で亜大出身の森宗順平(武蔵平)ら数少ない。福井市出身の鳥山は小学3年から野球を始め、羽水高では主砲として活躍。2年秋の県大会では福井工大福井などを破り県4強の実績を残した。大学進学後も愛知大学野球の名門に所属したものの、転機が今夏に訪れた。

 地元で行われた名古屋場所を観戦。もともと相撲に興味があったとはいえ、間近で体感する激しいぶつかり合いに大きな刺激を受けた。「序ノ口から見ていましたけど、相撲の迫力にこの世界でやってみたい気持ちが湧いた」。相撲界に興味を示すとともに、両親の知人を介して同じ福井県出身の湊川親方(元小結・大徹)、放駒親方(元関脇・玉乃島)を紹介された。その後、8月に放駒部屋に体験入門し、角界挑戦を決断した。

 幼少期から野球少年だったが相撲も大好きで「中学の頃から良く見ていました。白鵬関が好きでした」。You Tubeなどで取組を見ることも多く、同じアスリートとして力士のすごさに感化されていたという。

 大学は中退し、既に部屋の稽古にも参加。師匠や兄弟子から一丁押しや相撲の基本を学んでいる。もともと体は柔らかくなかったが、自主的にストレッチで柔らかくするなど努力も惜しまない。今では又割りもそれなりにこなす。野球と相撲では鍛える部分なども違うが「体幹とは野球でも鍛えてきたので、その成果を行かせるかもしれません」と話す。

 福井県出身は、現役は舞蹴と越ノ龍の2人。大徹(湊川親方)が90年秋場所で引退後は関取が32年間も不在。これは47都道府県で最長のブランクだ。待望の福井出身力士の誕生に湊川親方も「自分の頃は天龍さんら、部屋にも6、7人いた。時間はかかるかも知れないが、頑張ってほしい」と目を細める。チームスポーツの野球から一転して対人競技の相撲の世界に飛び込んだ19歳。「不安もありますが、今はやってやるぞ、という気持ちです。最初に声をかけてくれた師匠、背中を押してくれた両親に早く恩返しをしたい」と目を輝かせた。

 ◇鳥山優太郎(とりやま・ゆうたろう)2003年(平15)1月18日生まれ、福井県福井市出身の19歳。小学3年から野球を始め、明倫中では福井嶺北リトルシニアに所属。羽水高では主力選手として活躍した。名古屋商大に進学し、今秋中退。野球は右投げ右打ちで内野手。1メートル92、110キロ。両親と弟2人。趣味は運動。

◇関取不在都道府県◇  
 県名 最後の関取 最終場所
 福井県 大 徹 90年秋
 岐阜県 恵那桜 94年春
 徳島県 時津洋 99年夏
 群馬県 湊富士 02年名
 宮城県 五城楼 05年九

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