岩井ツインズ妹・千怜 ツアー初優勝、02年生まれ“ネクスト”世代V1号「大きな家建てたい」

[ 2022年8月15日 05:30 ]

女子ゴルフツアー NEC軽井沢72最終日 ( 2022年8月14日    長野県 軽井沢72ゴルフ北C=6679ヤード、パー72 )

優勝トロフィーを手に笑顔を見せる岩井千怜(撮影・会津 智海)
Photo By スポニチ

 首位から出た双子姉妹の妹、岩井千怜(ちさと、20=Honda)が5バーディー、2ボギーの69で回り、通算13アンダーとしてツアー本格参戦1年目で初優勝を飾った。最後まで攻めのゴルフを貫き、02年度生まれ以降の選手としてもVは1号。98年度生まれの“黄金”や00年度生まれの“ミレニアム”などに続く“ネクスト”世代の旗手に名乗りを上げた。

 攻めて攻めて、攻め抜いた先に、歓喜は待っていた。2位と2打差で迎えた16番パー5。岩井千は残り225ヤードから池越えの2オンを狙った。「見てる人がワクワクするプレーを見せたかった。2オンしたら格好いいかなって」。グリーン手前のバンカーに入れバーディーを逃しても、悔いはなかった。

 「自分で(優勝を)つかみにいくゴルフができている」。先月の楽天スーパー・レディースの最終日最終組で稲見、勝と一緒に回った。「怖がらずピンをバンバン狙っていた」と衝撃を受けた。それまでは「怖いものが先に見えていた」が、吹っ切れた。最終18番、下りのパットは約2メートルオーバーしボギーとしたが、これこそ攻め抜いた証だった。

 昨年6月のプロテストに姉・明愛(あきえ)と一発合格。だが、すべてが順調だったわけではない。昨秋のツアー予選会は90位。今季前半戦は出場も限られた。屈辱のオフは猛練習で、失敗をバネに変えた。この日の前半、一時は首位から陥落したが10、11番で連続バーディー。「ここからが本番」と切り替えた内容は、ゴルフ人生そのものだった。

 迫り来る初Vの重圧は独自の「深呼吸」で回避した。現在、武蔵丘短大で心理学を学ぶ。「1回大きく吸って呼吸を止める、そして吐くと落ち着くんです」。16番の2打目と18番のパットを打つ前、大きく息を吸った。勝負の合図だった。

 優勝を決めたグリーン上で大粒の涙がこぼれた。視線の先には公務員の父・雄士さん(49)と母・恵美子さん(47)の姿があった。双子にゴルフを続けさせてくれた両親への感謝の思いがあふれ出た。「小さい頃、サンタさんにゴルフ道具をお願いしたのを覚えてます。両親にはゆっくりしてもらいたい。大きな家を建てたいです」と笑った。

 アマ時代から同年代の先頭を走り、当面の目標だった来季のシード権も手中にした。ミレニアム、新世紀の、さらに下の世代に現れたニューヒロイン。“ネクスト”は岩井千がけん引していく。

 【岩井 千怜(いわい・ちさと)】

 ☆生まれとサイズ 2002年(平14)7月5日生まれ、埼玉県出身の20歳。1メートル62、59キロ。

 ☆家族 父・雄士さん(49)、母・恵美子さん(47)、姉・明愛。弟・光太さん(17)は埼玉栄高ゴルフ部所属。

 ☆競技歴 8歳の時、父の練習について行き競技開始。埼玉・川島中2年時の17年全国中学校選手権春季大会を制して初の日本一。埼玉栄高3年時の20年には姉・明愛と全国高校選手権特別大会団体の部優勝。

 ☆双子プロ JLPGAでは史上4組目。昨年9月には下部のステップアップツアーで千怜、明愛が2戦続けて優勝。姉妹連続Vはレギュラーツアーを含め国内初の快挙だった。

 ☆性格は真逆? ともに小学校時代は陸上クラブに在籍するなどスポーツ万能。弟・光太さんによると性格は「明愛が積極的で千怜は慎重。ゴルフのアドバイスでは2人が違うことを言うので迷います(笑い)」。

 《ツインズ初の優勝者》国内ツアーの双子姉妹プロは岩井明愛と千怜が史上4組目だが、過去にどちらか1人でも優勝した例はなく、千怜がツインズ初の優勝者となった。なお、姉妹で優勝を果たしたのは過去に2組。ツアー通算24勝の福嶋晃子、同1勝の浩子と、ともに2勝の堀奈津佳、琴音がいる。

 《姉・明愛「感動しました」》姉・明愛は18番グリーンで千怜の初優勝の瞬間を見守り、「おめでとう」と声をかけた。ともに人生を歩んできた妹の快挙。「もう、感動しました。優勝は夢だったので、一番身近な人が優勝できるのが本当に凄いと思いました」と心から祝福した。自身は21位から出て76とスコアを落として53位。今週の戦いを「やっぱり悔いが残る」と振り返り、「自分も追いつけるように、優勝を目指して頑張りたいです」と刺激を受けた様子だった。

続きを表示

この記事のフォト

2022年8月15日のニュース