渋野「私自身がつくり上げられた大会」初心取り戻した全英1差3位 逆境で強さ見せた

[ 2022年8月9日 05:25 ]

米女子ゴルフツアー AIG全英女子オープン最終日 ( 2022年8月7日    英ガレーン ミュアフィールド・リンクス=6659ヤード、パー71 )

最終ラウンド18番、パーセーブし笑顔でラウンドを終える渋野日向子(撮影・西尾 大助)
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 19年大会覇者の渋野日向子(23=サントリー)は5打差の2位から出て1イーグル、3バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの71で回り、通算9アンダーで単独3位に終わった。日本人初のメジャー2勝目には1打届かず、悔し涙も見せたが、最後まで優勝争いを演じ、復活を印象づけた。アシュリー・ブハイ(33=南アフリカ)が通算10アンダーで並んだ田仁智(27=韓国)とのプレーオフを制し、メジャー初優勝した。

 渋野は笑いながら泣いていた。「やり切ったなと思うけど、やっぱり悔しい…」。目尻に涙が浮かび、声が震えた。届かなかったのはわずか1打。優勝には決めるしかない最終18番の3打目。グリーン奥、逆目のラフから狙ったアプローチがカップ横を通過した。その瞬間、メジャー2勝目の夢はついえた。長く、充実感と悔しさが詰まった渋野の4日間は幕を閉じた。

 3年前、優勝した全英の舞台。渋野らしさは随所に戻ってきた。3、4番で連続ボギーを叩いた後、強烈なフォローの5番パー5でイーグルを奪う。残り170ヤードの2打目を8Iで2オンに成功し、豪快にバウンスバック。「まさかパー5の2打目を8Iで打てるとは思わないじゃないですか、やるしかないと」と笑った。4日間で一番、風が吹いた最終日。経験のない番手選択も柔軟に操った。

 コース最難関の後半14番で第1打をバンカーに入れ、痛恨のダブルボギー。首位との差は絶望的な5に広がったが「あと4ホールが難しかったので諦めなかった。だからこそ15番のティーショットはマン振りした」。自身に活を入れるようクラブを思い切り振った。17番パー5では注文通りのバーディーで首位と1打差に食い下がった。最後まで優勝の可能性を残した。

 2週連続で予選落ちが続いた中、メジャーの舞台で優勝戦線にカムバックした。「私自身がつくり上げられた大会。楽しむことを思い出させてくれる場所。初心に返ってプレーできた」と言った。3、4番の連続ボギーも前週までの渋野ならば「もう諦めていた」と言う。だが今週は「怒りを力に変えられた」。5番のバウンスバックは前週までとは別人だった。全英が渋野をよみがえらせた。

 名門リンクスで初日に単独首位に立ち、第2日は我慢のゴルフ。復活の3位に満足せず、目元に光った悔し涙が成長の証。最後は3年ぶりに一緒に回ったブハイがプレーオフを制す姿を見届け、笑顔で抱擁した。次戦は妹で明大2年の暉璃子(きりこ)と招待試合シモーネ・アジアパシフィック杯(18日開幕、ジャカルタ)に参戦予定。もっと強い渋野になるため新たな旅が始まる。

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