7人制ラグビーW杯まで1カ月 女子日本代表・大竹風美子は大ケガ乗り越え「ピンチをチャンスに変える」

[ 2022年8月9日 07:00 ]

W杯に向け調整を続ける大竹風美子
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 7人制ラグビーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会開幕まで、9日で1カ月となった。女子日本代表は昨夏の東京五輪で参加12カ国中12位に沈む惨敗。チームは24年パリ五輪に向け再建中で、W杯は8強入りを狙う。中心メンバーとして期待されるのは大竹風美子(23=東京山九フェニックス)だ。ケガで東京五輪の舞台に立てなかった悔しさを、自身のルーツでもあるアフリカの地でぶつける。

 約1年前。TOKYOでサクラセブンズが散る姿をテレビ画面越しに見つめていた。大竹は東京五輪の代表有力候補とされていたが、昨年2月の練習中に左膝の前十字靱帯(じんたい)損傷。自国開催の夢舞台へ足を踏み入れることすらできず、仲間たちの敗戦に悔しさを味わった。

 「ここにいられない自分に対しても、もちろん悔しかった。そして、結果を目に焼きつけて“絶対に忘れちゃいけない”って思った」

 東京五輪が終わると、すぐに代表メンバーに連絡した。「どうだった?」。チームメートから、五輪で勝つ厳しさや世界との差、敗戦直後のチームの会話内容を聞き込んだ。「それ(東京五輪直後の連絡)があったからこそ、今もチーム内で思いを共有できている。良かったなと思う」。仲間からの生の声が胸に刻まれている。

 大ケガから復帰するため、過酷なリハビリを支えた原動力は南アフリカで開催されるW杯への思いだった。いつも応援してくれる父・エディーさんはナイジェリア出身。「私のルーツがアフリカにあるので、(W杯)代表に選ばれて、そこで試合ができることは忘れられない経験になる。東京五輪に出られないことが決まった時、“W杯は絶対に出場して、絶対に結果を残す”って心に誓った」。リハビリを重ね、今年2月から練習再開。4月からの太陽生命ウィメンズセブンズシリーズでは、東京山九フェニックスの総合優勝に貢献した。

 強みはアグレッシブなボールキャリーに加え、キックオフボールを奪う際など相手との接点でも当たり負けしないフィジカルだ。鈴木貴士ヘッドコーチ(HC)も「速くて強い」と評価し、後輩へ経験を伝える姿には「選手として良い影響を与えてくれている」と信頼を寄せる。

 チームがW杯で掲げる目標は8強入りだ。現在は12日から始まるワールドチャレンジャーシリーズ出場のためチリに遠征中で、今月中にはW杯代表選手の発表がある。「五輪では(代表入りを懸けた)セレクションのフィールドにも上がることができなかった。(今回は)チームがきつい時に“大竹がやってくれたな”と、ピンチをチャンスに変える選手になりたい」。今度こそ、大舞台で暴れる準備はできている。

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2022年8月9日のニュース