【田中刑事、語る(1)】現役引退「多大なる感謝」コーチ&プロで「自分の思いを体現」

[ 2022年4月29日 16:52 ]

<プリンスアイスワールド>記者の質問に答える田中刑事(撮影・木村 揚輔)
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 フィギュアスケートのアイスショー「プリンスアイスワールド」の横浜公演が29日、KOSE新横浜スケートセンターで開催された。今月に自身のSNSで現役引退を表明していた男子で18年平昌五輪代表の田中刑事(国際学園)はフォーマルな装いで「ショパンの夜に」を滑った。華麗なスケーティングだけでなく情感あふれる表現力でも魅了した。引退会見も行われ、「思いを伝えたく、書面にて」と手紙を取り出し、思いを語り尽くした。

 以下は引退コメント全文。

 「この度、4月11日に競技の引退を発表いたしました。引退を改めて決断したのは昨年の全日本選手権のフリーを終えた後です。全日本選手権は納得のいく演技ができなかったので、達成感があったわけではありませんが、ここで区切りをつけようと思いました。シーズンを振り返って思うような競技成績を残すことができず、悔しいシーズンでしたが、自分の中で新たな目標を立て、すぐに競技生活には未練はなく、次のスタートを切ろうと思うことができました」

 「そして、その目標の1つは指導者になることです。そのために現在、ひょうご西宮アイスアリーナにて長光歌子先生、淀粧也香先生の下、アシスタントコーチとして選手の指導をしながらコーチ業を勉強させていただいています。コーチになりたいという夢は小さい頃から抱いておりました。これまで長い競技生活の中で経験した成功や失敗を通してスケートの楽しさや技術を伝え、さらに選手の成長にとって必要なことは何かを考え、一人一人真しに向き合っていきたいと思います。もう1つはプロスケーターになることです。小さい頃からコーチになりたいという夢だけでしたが、さまざまな経験を通してプロスケーターにもなりたいと思い始めました。これまで競技人生を通して、多くのプログラムに出合い、それを演じる中でさまざまな自分に出会うことができました。プログラムを通して新たな自分を発見することに楽しさを覚え、だんだんとさまざまな曲に挑戦するようになりました。特に昨年のPIWで演じたジュ・トゥ・ヴやLUXEで演じたナルシスを通して、競技人生を終えた後も演じることを続けたい。競技という枠を超えて演じたいと強く思うようになりました。コーチとしての活動と、プロスケーターとしての活動の両立は大変難しいことだと覚悟しております。しかし、自分の思いを体現できるように努力していきます」
 
 「私はヘルスピア倉敷でフィギュアスケートに出合い、佐々木美行先生のご指導の下、成長し、その後、長光歌子先生、淀粧也香先生、林祐輔先生、河野由美先生のご指導の下、オリンピックや世界選手権など目標にしていた大きな国際大会に出場することができました。これまでの競技生活の中で、本当に多くの方に支えていただきました。フィギュアスケートに取り組むことに理解しつつご指導してくださった学校関係者の皆さま。拠点として活動させていただいたヘルスピア倉敷、臨海スポーツセンター、ひょうご西宮アイスアリーナのスケートリンクを含め全国のスケートリンクの関係者の皆さま。あらゆる場面で選手のために尽力してくださった日本スケート連盟の皆さま。身体面や精神面のケアをしてくださった皆さま。練習ばかりで会うことがなかなかできなくても、いつも気にかけてくれた友人たち。スケーターとして切磋琢磨(せっさたくま)し合い、お互いを高め合って、一緒に成長し合いながら友人としても仲良くしてくれた先輩、同期、後輩の皆さま。いかなる時も僕を信じ、応援してくださり、お手紙やプレゼントを通して元気づけてくださったファンの皆さま。そして、僕のわがままで続けてきたスケートを金銭面的にも余裕があったわけでないのに、小さい頃から引退するまで変わらず、ずっと大きな愛情を持って支え続けてくれた家族。この場をお借りして、多大なる感謝を伝えたいと思います。皆さまのおかげで幸せな競技人生でした。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。そして、最後にこのような会見を開いていただいたプリンスアイスワールドの関係者の皆さま、本当にありがとうございました」

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2022年4月29日のニュース